世界を制するのは誰だ 「ONE: ENTER THE DRAGON」を振り返る
5月17日にシンガポールのインドア·スタジアムで開催された「ONE: ENTER THE DRAGON」は、ONEチャンピオンシップの醍醐味が詰まった好カードの連続となった。かつて、日本人選手が中心となり、彼らの勝利が主な見どころだった日本の格闘技があったが、その後はよりシステマチックに北米で進化し、ハイレベルな闘いが繰り広げられてきた総合格闘技。そして今、舞台はアジアを中心に、誰も観たことがない新時代に突入しようとしている。
青木真也が敗れ、クリスチャン·リーがONEライト級世界王座を獲得
Christian Lee STOPS Shinya Aoki in the second round to win the ONE Lightweight World Title! 🤯
Christian Lee STOPS Shinya Aoki in the second round to win the ONE Lightweight World Title! 🤯TV: Check local listings for global broadcast
Posted by ONE Championship on Friday, May 17, 2019
これは総合格闘技における象徴的な世代交代の瞬間なのか。3月に開催されたONE初の日本大会「ONE: A NEW ERA」で、エドゥアルド·フォラヤンから王座を奪還したばかりの青木真也が、所属ジムの同僚で友人でもある20歳のクリスチャン·リーに敗れた。
1Rは完全な青木ペースで、腕十字がほぼ極めかかる場面もあったが、寝かされる度に、クリスチャン·リーが驚異的なバネで青木を跳ね返した。2Rに入ると、距離を縮めようとする青木に、超スピードの左がクリーンヒット。そのまま連打を浴びた格闘技界のレジェンドは、真っ白いリングに崩れ落ちた。
格闘技のムーブメントが起きるとき、必ず、時代の寵児とも言える選手が登場する。クリスチャン·リーは、次世代のスーパーエースに君臨できるか―。彼の今後の闘い如何で、この試合の価値や意味が変わるのかもしれない。
ホルツケン、セージカットが敗れる大波乱
👑 KING OF THE RING 👑Dutch phenom Regian Eersel outstrikes Nieky Holzken to win by unanimous decision and be crowned the first-ever ONE Lightweight Kickboxing World Champion!TV: Check local listings for global broadcast
Posted by ONE Championship on Friday, May 17, 2019
この日は、ONEライト級世界タイトルマッチの他に、同じライト級のキックボクシング世界タイトルマッチも行なわれた。ニキー·ホルツケンとレジアン·アーセルの闘いは、ホルツケンが敗れる展開に。また、北米で確かな実績を携えてONEに参戦したセージ·ノースカットが、コスモ·アレクサンドレにKO負けを喫した。
これまで、エディ·アルバレスや岡見勇信など大物が連続参戦を果たしているONEだが、前出の二人に続き、ノースカットまでもがデビュー戦で敗れるという厳しい結果に。ONEが自らをグローバル·ステージ(世界の舞台)と評する主張を証明する形となった。
日本人トップコンテンダーが王座に前進
Mei Yamaguchi pulls off a slick armbar on Laura Balin in the first round, staking her claim to a ONE Atomweight World Title shot! 🇯🇵Watch the full event on the ONE Super App 👉 http://bit.ly/ONESuperApp | TV: Check local listings for global broadcast
Posted by ONE Championship on Friday, May 17, 2019
先月、ONEストロー級世界王者の猿田洋祐がジョシュア·パシオに敗れタイトルを失い、本大会では唯一となっていた日本人王者の青木真也が敗れてしまった。これで、ONEには再び日本人王者不在という事態が起きてしまった。
しかし、ONE女子アトム級世界王座を狙うV.V Meiが日本大会に続き、アームバーで勝利を収め、3度目となるタイトル挑戦にさらに近づいた。どんな相手でも動じずに堂々と対処するV.V Meiの姿は、すでに王者の風格すらある。
元ONEストロー級世界王者の内藤のび太は、同じく元同級王者のアレックス·シウバと対戦し、タイトル争奪戦をサバイブした。現王者のパシオは、かつて内藤が敗れてタイトルを失った相手でもある。優しく物静かな姿の奥で、王座奪還に闘志を燃やしていることだろう。
本大会も見どころ満載で、ますます盛り上がりを見せるONEチャンピオンシップ。誇り高き日本の英雄たちと、北米のスターたち、そして新時代の覇権を取ろうとする未知なるアジアの強豪たちが入り乱れる、かつて誰も観たことがない闘いがここにはある。
10月の日本大会に向けて、日本人選手たちの活躍からも目が離せない。