ミーシャ・テイト通信:目標を追い続けることの大切さ

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ミーシャ・テイトは、ONEチャンピオンシップ副社長であり、女子格闘技界のパイオニア。不定期配信コラム「ミーシャ・テイト通信」、今回は世界チャンピオンになるのに10年かかったというテイトが目標達成のコツを教えてくれた。

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先月、個人的のゴールをひとつ実現した。90日間、トータルで210kmを走り切るという目標だ。

ランニングはしばらくやっていなかった。正直にいって、私にとって走ることはそこまで重要ではなかったのだ。それでも続けようと思ったのは、目標を実現することそのもののためだった。

1週間に3日、1回5kmを走るという目標設定だった。いろいろな方法でやる気を奮い立たせ、ゴールを達成するために頑張らなくてはならなかった。妊娠生活半ばを過ぎてからはランニングをほとんどしていなかったので、またリズムを取り戻す必要があったのだ。

私には走るのが楽しみという気持ちはないので、これは自分への挑戦だった。本気で取り組めば達成できる目標だとわかっていたし、実際にそうできた。初日のタイムは32分だった。少しずつ速く走れるようになろうという私の決意は、最後の日のタイムにきちんと表れた。5㎞を24分15秒で完走したのだ。

簡単ではない道程だった。タイムをかなり縮めたが、そのために必死で努力した。毎週、やる気を奮い立たせた。シンプルなことだ。私にとって、人生で一番大切なのはベストな自分でいること。SNSにそれを投稿したのも、他の人たちもベストな自分でいられるように背中を押したかったからだ。目標を決めるのはいいことだし、実際にそれを達成するのはよりいっそう気分がいい。

私自身、誰かからのインスピレーションが必要だった時がある。今でもそうだと思う。90日ランニングの目標に向けてスタートを切った時、私は足に怪我をしていて、走るたびに痛んだ。だが、しばらくたつと気にならなくなった。走るのをやめなくてはいけないほどひどい怪我ではないと自分に言い聞かせたからだ。

とにかく、ひたすら走り続けた。時には調子が良くない時もあったが、自分自身とSNSで見守ってくれているファンに責任があると知っていた。もっと頑張れるよう、背中を押してもらえた。もしこの目標を達成できたら、自分により自信が持てるだけでなく、ジムに行く気がしないと思っている他の人たちにやる気を与えることができると思ったからだ。そういった仲間意識はお互いに影響を与え合うものだ。もちろん、いい意味で。

私は日々、叶えたい目標がある人たちに出会う。自分の情熱である格闘技のトレーニングでは、組み技の時、ストライクの時、それぞれ自分の中で小さな目標を定める。みんな、向き不向きがある。走るのが好きな人もいれば、他のことが好きな人もいる。ただ共通して言えるのは、私たちは誰もが最後には目標を達成したいと望んでいることだ。

セミナーで質問されたことがある。「あなたくらいのレベルと経験があっても、新しいことを学ぶことはあるのですか?」と。「毎日学んでいます」と、私は答えた。世界中の黒帯を持つ人や達人たちも同じことを言うだろう。ある分野におけるエキスパートだからといって、それ以上何も学ぶことがないわけではない。それこそがまさに、格闘技がやめられない理由だ。

個人的な目標を定めたいと思うなら、現実的で実現可能なところから始めるといい。人には時々、一瞬だけものすごくやる気が高まる時がある。世界征服だってできそうな気分になることが。そういう時にいろいろな目標を決めるけれど、あとになって全部を達成するなんて到底無理だと気がつく。そして、チャレンジを始めすらしないで失敗した気持ちになってしまうのだ。

やる気がわいて、気持ちが高まり、野望を抱く。私もそういう気持ちは大好きだ。ただ、失敗するとわかっているチャレンジを自分に与えたり、非現実的な目標を達成できなかったからといって自己嫌悪に陥ったりはしたくない。

重要なのは、スケールが小さく、現実的で、継続可能な目標を定めることだ。私は毎日走るという目標は立てなかった。過密なスケジュールの中、ほとんど不可能だとわかっていたからだ。

現実的に考えて実現できる目標ではないと知っていたので、自分でスケジュールを決めた。1週間に3日、トータルで15㎞。それなら実現可能だとわかっていた。だからやる気も出たし、責任感も感じた。できない理由がないのだから。

もうひとつお伝えしたいコツは、目標を書き出すことだ。書いてみることで自分自身と約束することになる。それがとても重要なのだ。紙に約束を書いておけば、毎日それを見て思い出すことができる。

それから、他の人に目標を伝えておくのもいい。母親や、親友、身近な人たち(SNSで投稿するのもいい)。

他の人を巻き込むと、彼らにインスピレーションを与えることもできるし、自分のささやかな旅路を見守り応援してくれる人ができることになる。いい意味でプレッシャーが加わるのだ。そして目標を達成した暁には、みんなが一緒に喜んでくれるだろう。

最後に、志を同じくする人たちに「囲まれておきなさい」とは言わないけれど、自分の人生のそういった人たちがいるようにするといい。常にポジティブで志を同じくするやる気に満ちた人々に囲まれていようとするのは現実的ではないし、それでいいのだ。私自身は、自分の目標を否定する人たちに会うと逆にとても奮起できるタイプだ。だから、彼らも意味のある役割を果たしてくれていると思う。

私が目指すのは、成功を応援してくれる人たちが自分に与えてくれる影響を最も大切にすることだ。人生を前向きに変化させたいなら、世界に対して同じようなエネルギーを送り出し続けている人々を見つけないといけない。

生きることは進化し続けることだ。同じ場所でじっとしている時、私たちは前に進んでいない。前に進んでいなければ、実際は後戻りしているのと同じだ。それを心にとめながら、成功に向かって努力し続け、失敗を喜び、祝福してほしい。

私は世界チャンピオンになるまで10年かかった。その過程では、膨大な数の挫折と失敗があった。最後には、状況に柔軟に向き合い成長する能力が一番大切なのだ。

最後に、もう一度。目標はシンプルにしておくこと。時には、その日のゴールを達成するだけで十分なのだから。

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