サイドストーリー

リッチ・フランクリンの視点:両国大会、ライトヘビー級タイトル戦の行方

2019年10月12日

10月13日(日)に迫った「ONE:CENTURY 世紀」は見逃せない試合が満載だ。才能あふれる選手たちが続々と登場するのだから、注目の対戦を選ぶのすら難しい。

だがその中でも、非常に大きなマッチがある。ONEヘビー級世界王者のアウンラ・ンサン(ミャンマー)が、ブランドン・ベラ(フィリピン)の挑戦を受ける一戦だ。物理的にも比喩的にも、大きな試合と言える。

つまり物理的には、アウンラ・ンサンは身長185cm、ベラが191cmと、2人とも大柄な選手だということ。そして比喩的には、彼らの試合が「ONE:CENTURY 世紀」第2部の最後を飾るメインイベントだということだ。この試合について、もう少し掘り下げて見てみよう。

ONEヘビー級王者であるベラは、この試合のために階級を下げてくる。彼が大柄というのは周知の事実だが、忘れないでほしいのは、彼がキャリアを始めた頃はもっと軽い階級で戦っていたということだ。

過去にライトヘビー級で戦った経験は、ベラに有利に働くだろう。階級を下げるため体重を落とさざるを得ないが、軽い体重でスタミナに余裕を持って戦うのがどういう感触か、ベラは分かっているはずだ。そう考えると、彼にとって心肺機能やコンディショニングの問題はあまりないと見ている。

ベラは最近、ソーシャルメディアに近況を投稿していて、その姿は1年前よりかなり小さく細く見える。この絞れた体で、ベラは別人のような動きを見せるだろう。

大柄な選手同士のこの試合は、第4、第5ラウンドまでもつれるかもしれない。果たして、軽い体でスタミナも終盤までもつというベラの体の記憶が吉と出るかどうか。この辺りは注目のポイントになるだろう。

brandon vera one heavyweight world champion

一方のアウンラ・ンサンはここ数年、コンスタントにライトヘビー級で戦ってきた。久々にライトヘビー級に復帰するベラとは対照的だ。理屈の上では、この階級での経験が豊富なアウンラ・ンサンが有利と思われる。

両者はパワーの面で拮抗しているし、立ち技とグラウンドゲームのどちらもほぼ互角だ。だからとても見ごたえのある対決になるだろう。

ベラは通常、試合の序盤でフィニッシュを決めることが多い。理由の一つとしては、対戦相手のほとんどは大柄で、ヘビー級の選手はたいてい、スタミナを売りにしているわけではないことが挙げられる。繰り返しになるが、体を絞ったベラがコンディショニングの面でも、これまでより仕上げてくると考えている。

この2人の試合を見たことがある人は誰でも、どちらもが苦痛に耐え得る驚異的なタフさをもつアスリートだとわかるだろう。レスリングはベラのテクニックが優るかもしれないが、2人とも柔術は同等レベルだ。

だが仮にベラがグラウンドに持ち込んだとしても、楽にサブミッションを決められるわけではない。ベラにとっては難しい仕事になるだろう。

Aung La N Sang

試合の流れを考えてみよう。ライトヘビー級にしては大柄な両者が、そのサイズの割にはかなりいいペースで試合を進めるだろう。だが同時に、無用なミスを犯さないように注意しながら、相手を見極めようとしてくるだろう。

パンチをもらわないようにするというだけではない。この規模の体格の選手ともなると、ミスが命取りになり兼ねないのだ。

ファンを沸かせる見ごたえのある一戦になるのは間違いない。勝敗を分ける決定的な要因は結局のところ、先に相手を見切った方が勝つ、ということになるだろう。

両者がメインイベントにふさわしい試合を見せてくれるのは間違いない。みなさんがこの注目のカードを楽しんでくれることを願っている。

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リッチ・フランクリンは、ONEチャンピオンシップの副社長及びONEウォーリアーシリーズのCEO。総合格闘技元世界チャンピオンでもある。記事に書かれたすべての意見は彼個人のものである。