特集

【10/13大会】「自転車で道場まで3時間」北方大地がONEの舞台に上がるまで

2019年9月25日

西日本は粘り強く、アツい人材の宝庫だ。北方大地も例外ではない。

反抗的な気質のせいで、子どもの頃に経験した格闘技への最初の挑戦はすぐに終わった。だが大阪にある総合格闘技の道場と出会い、北方は敬意を払うことを知った。彼の人生は新たな方向へと進み、偉大な格闘家への道を歩み始めた。

パンクラスストロー級世界王者となった北方は今、28歳。10月13日(日)に東京・両国国技館で開かれる「ONE:CENTURY 世紀」の第2部で、ONEチャンピオンシップへのデビュー戦を迎える。相手はONEストロー級元王者でシュートの世界王者、猿田洋祐。ストロー級の日本最強を決める戦いに挑む。

ONEデビュー戦を前に、北方が格闘技と人生を振り返る。

活動的な子

北方はとても活動的な両親の元で育った。東京の他の子どもたちとはかけ離れた環境だった。

母親は北方が2歳の時から、定期的に近くの山や川に連れて行った。格闘技を始めるのもそう時間はかからなかった。

「6歳で少林寺拳法を始めた。でも反抗的な子どもで先生の言うことを聞こうとしなかったから、1年でやめた」

北方は10歳の時プロレスと出会う。橋本信也と小川直也の試合に大興奮したのを覚えているという。だがそれは、その後、中学に入り総合格闘技に惹かれた時のような感情ではなかった。

2000年代の日本は格闘技ブームに沸いていた。北方は日本最大の格闘技団体の試合をテレビで見て魅了され、翌日には野球をやめて柔道部に入った。

「初めてプライドの試合を見た時、『あ!明日からこれやろう!』と思った」

今回は高校に入るまで続け、大阪にある有名な総合格闘技道場「パンクラス大阪稲垣組」に入門した。

インターネットで探して、検索結果の1番上に来たジムに行こうと決めた」

「自分の家はそこからすごく遠かった。自転車の方がいいだろうと思って行ったら3時間もかかった。でももう自転車で行くって決めていたから行った」

規律と責任

View this post on Instagram

今日の練習は平均年齢24歳!    この面子意外にも若手はまだまだいる。     競技者の平均年齢が高い日本のMMA業界においてうちの道場の若さは可能性の塊。     格闘技始めたいと思ってる少年、青年、思い切って飛び込んどいで????         #日本 #大阪 #総合格闘技 #格闘技 #格闘家 #パンクラス #キックボクシング #ボクシング #レスリング #柔術 #グラップリング #トレーニング #パーソナルトレーニング #フィットネス #スポーツ  #アスリート #JAPAN #training #sports  #athlete  #kickboxing #boxing #wresling #grappling #nogi #jiujiutsu

A post shared by 北方 “獅子王子” 大地 (@daichikitakata8mma) on

道場の創始者で、元パンクラスのアスリートでもあるヘッドコーチの稲垣克臣は、ベテランの前田吉朗と共に、北方の精神的、身体的な成長を手助けした。

「稲垣さんは武士道の精神を身にまとっていた」

「多くは語らないが、言葉では表せないニュアンスというものを感じることができる。そのバランスが自分には合っていた。『こんな人になりたい』って思った」

「前田さんもそこにいた。これまでにあった怖い人の中でも、彼ほどのオーラを持っている人には会ったことがない。強い生命力を感じた。彼のような人の元でトレーニングして、自分の力を示したいって思った」

北方は厳しいトレーニングをこなし、国内トップクラスの選手になるのに必要な要素を磨いていった。

チームの他のメンバーとも強い絆を構築し、周りの面倒を見ることを覚えた。

「後輩が入門してくるようになって、年下に対する責任というものを学んだ。他の人の面倒をみるのが格闘技の精神」

「自分たちの道場では、チーム精神というものが強い。いろいろな世代の人がいて、伝統がある。道場には独特の雰囲気がある。そういう場所で成長し、全てを受け継いでいくというのは強い武器になる。お互いに気を配る先輩と後輩の関係によって、強い自制心というものを得られる

指導の道へ

北方は生きる道を見つけた。18歳で学校を辞め、フルタイムでトレーニングを開始。一方で、アルバイトをして生計を立てた。

彼はラーメン屋とスポーツ店で働いたが、バランスを取るのが難しかったという。

「格闘技で生きていくにあたって一番大変なことは、格闘技だけに集中できる環境を見つけること。仕事と試合を同時にこなすのが一番大変だった」

お金が目的だったことはない。100%を夢の実現に注げるように、生活するに足るものがあれば十分だった。

地元のスポーツクラブが、プライベートレッスンの指導をやらないかと持ちかけてきた時、彼はそのことに気づいた。彼の人生はようやく、望み通りにバランスが取れるようになった。さらに、人生で格闘技の他にも情熱を持って取り組めることを見つけることができた。

「格闘技を教えることで、自分が何をやっているのかをより深く考えるようになった。他人に技術を教えるには、自分がよくわかっていないといけないから」

世界の舞台

Daichi Kitakata with the ONE Championship belt at the ONE CENTURY media day

北方は2010年にプロデビュー。もっぱらパンクラスを舞台に戦いながら、すぐに目を見張る戦績を残し始めた。

彼のプロとしてのキャリアは2015年初めに岐路を迎えた。12試合でたった1敗という成績で、世界チャンピオンに上り詰めたのだ。

その唯一の敗北は2016年12月。2011年から連勝記録を続けていたパンクラス王者の砂辺 光久が相手だった。

当時の北方が敗北を乗り越えるのに時間はかからなかった。ストロー級の一流選手を4試合連続で倒し今年7月、2度目のタイトル戦に挑戦。そして第5ラウンドTKO勝ちという劇的な展開で、キャリア最高の瞬間を迎えたのだった。

これにより北方は、世界最大の格闘技団体ONEでのデビュー戦を勝ち取った。今彼は、世界最強の相手と対峙しようとしている。

「日本を代表して世界中の選手と戦いたい。アフリカやヨーロッパ、アジア、アメリカの選手と。みんなそれぞれの特徴とスタイルがある。『ストリートファイター』のゲームみたいにね」

東京・両国国技館 | 10月13日 (日)  | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)

ーーーーーーー

「ONE: CENTURY 世紀」は、さまざまな格闘技から28人の世界チャンピオンが参戦する、史上最大の世界選手権格闘技イベントだ。フルスケールの世界選手権格闘技イベント2大会が同日開催されるのも、史上初めてのことである。

複数の世界タイトル戦、世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦3試合、そして世界チャンピオン同士の対決をふんだんに取りそろえ、ONEチャンピオンシップが東京の両国国技館で新地平を切り拓く。