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【11/16大会】タリック・ケバベス、格闘技で掴んだ未来

2019年11月15日

若き日のタリック・ケバベス(モロッコ)はその攻撃的な性質で、ともすれば道を誤っていたかもしれない。

ONE: AGE OF DRAGONSで、ONEライトヘビー級キックボクシング初代世界王者の座を賭けてローマン・クリークリャ(ウクライナ)と対戦するケバベスは、かっとしやすく、しょっちゅう諍いに巻き込まれていた。

学校は退学になり、将来の見通しはないように思われた。だが、ケバベスは攻撃性をよりポジティブに表す術を格闘技を通して見つけた。キックボクシングを始めた時、ケバベスは好戦的な性格を生かして無慈悲な戦闘スタイルを確立し、それによってトップに登りつめた。

「自分はとても短気だった。誰かが少しでも間違ったことを言うとすぐに喧嘩を始めていた」と、ケバベスは語る。

「学校でもクラスメイトが言ったことが気に入らないといっては、しょっちゅう喧嘩をしていた。それで退学になったんだ。その時にこれからは正しい選択をして生きなければと思い、キックボクシングを始めた」

ケバベスはそれ以前にボクシングも学んだが、すぐにかっとなる性質や乱暴な言動を変えることはできなかった。

だが、14歳の時、友人からキックボクシングのクラスをとってみるように勧められた。新鮮な環境は、魔法のようにケバベスを変えた。

「ボクシングをやっていた時は十分に集中し、自分を律することができなかった。だからキックボクシングを始めることにしたんだ」と、ケバベス。

「そこは違う世界だった。キックボクシングの方が性に合っていると感じた。また集中し自分を律することができるようになったし、心が落ち着き、自分自身の言動に気を配れるようになってきた。それ以来ずっと、キックボクシングを続けている」



今、ケバベスは新たな目標に全力で向かい、最強のアスリートになろうと決心している。選手生命を危ぶまれるような膝の負傷で18ヶ月間試合に出られなかった時ですら彼を道から逸れさせることはできなかった。

ケバベスはヨーロッパで快進撃を続け、2度、ヨーロッパのキックボクシング団体「SUPERKOMBAT」ヘビー級世界王者に輝いた。

それをきっかけにONEに参戦し、今ではONEスーパーシリーズでは最もスリリングで成功したアスリートの1人となった。4勝0敗という完璧な記録で、今回、世界ベルト獲得に臨む。

今のケバベスは、問題ばかり起こしていた10代の頃からは全く逆の道を歩んでいる。もし生き方を変えていなければ自分はどうなっていたかは簡単に想像がつく。

故郷の街を見回せば、光の差さない道を選んだ人々や、自分は避けられて良かったと感じる生き方をしている人々の姿が目に入る。そのたびにケバベスは自分のしてきた選択が正しかったことを改めて確認し、懸命な努力と決意がなければ自分を待ち受けていただろう運命を思い出す。

「昔の友人や知り合いに会うことがある。自分がキックボクシングのトレーニングに打ち込み、自分を成長させようと励んでいた時に、誤った人生の選択をしてしまった人たちだ」と、ケバベスはいう。

「彼らは自分がどんなに良い方に変わったか、そして良い未来を自分のために創り出してきたかを気づかせてくれる」

ケバベスの存在はオランダの多くの若者にインスピレーションを与えている。だが、1116日(土)の試合で、もしクリークリャに勝ち、ONEライトヘビー級キックボクシング初代世界王者となったなら、彼の影響力と名声はより高まるだろう。

北京、キャデラック·アリーナでの試合に臨む27歳のケバベスは、その立場を喜んで受け入れるつもりだ。自分のストーリーが同じような境遇にいる若者の助けになればと願っている。

「自分を(どう行動を変えられるかの)良い例だと思って欲しい。自分にできたのだから、誰にだってできる」と、ケバベスは主張する。

「どうにもならないほどひどい状況になったこともあったが、今の自分はより分別もついたし、そういう環境から離れることができる」

「自分は環境の悪いところで恵まれない子供時代を送った。それでも自分の道を選び取り、人生をポジティブに転換させることができたんだ」

北京 | 11月16日 (土) | 18時(日本時間) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)