【4/29 ONE SAMURAI 1】ロッタン、武尊との再戦に勝敗を超えた想い「世界の人々に武尊と自分の両方を讃えてほしいと思っている」
4月29日(水)、東京・有明アリーナで開催される「ONE SAMURAI 1」で、タイのスーパースター、ロッタン・ジットムアンノンは武尊との再戦に臨み、ONEフライ級キックボクシング暫定世界王座を争う。この試合は武尊の引退試合でもあり、この一戦は大きさ、流石の“アイアンマン”でも計り知れないものだ。
タイの誇りを背負うグローバルスターとして、リング上でのパフォーマンスが全てだ。昨年の「ONE 172」での初対戦では武尊をわずか80秒で仕留めたロッタンだが、今回の試合も、これまでの自分の躍進を支えてきたのと同じ集中力と激しさで臨まなければならないと理解している。
「もちろん、すべての試合が重要だ。気を抜いて戦える試合などひとつもない。プレッシャーのない試合もない。すべてがプレッシャーだ」
「自分は世界の舞台にいる。プレッシャーは間違いなく大きい。試合のたびにタイの代表として戦っている。自分たちはタイ人ファイターだ。大事なのは誰も負けたくないということ。自分も誰かに負かされたくない」
今回勝利した場合、ロッタンはONE2競技制覇という偉業を達成するが、そのチャンスへの道のりは決して順風満帆ではなかった。2024年11月の「ONE 169」で、ロッタンは計量失敗によりONEフライ級ムエタイ世界王座を剥奪された。
世間からの批判を浴びながら、自身も失望に向き合わされた瞬間だった。28歳のロッタンはその状況を否定することも矮小化することもせず、真正面から受け止め、最高峰で戦うことに伴う責任の一部として捉えている。
「ベルトを失ったのは自分の行動のせいだと言う人もいる。でも人はどんな職業でも、どんなスポーツでもミスを犯す。自分のミスから来るなら、修正できる」
「対戦相手との戦いで自分は一度も手を抜いたことはない。常に全力を注いできた。向き合うすべての相手に勝つことへの真剣さは確かだ」
体重管理と精神的プレッシャー
ONEチャンピオンシップは選手の安全を守るためにハイドレーションテストを実施している。長年フライ級で戦ってきたロッタンにとって、コンディション維持と体の健康状態を両立させることは、細心の注意を要する。
「ONEは計量と水分量の管理が非常に厳格だ。自分のような経験豊富な選手を含め、すべてのファイターにとって非常に難しい。体重を落としながら水分を保たなければならないからだ」
「正直、それは本当に大変だ。でもみんなやっている。そしてある日、自分がミスをした。避けられないこともある。ただ現実を受け入れて進んでいくだけだ」
このシステムは選手の安全を最優先に設計されているが、それに応じた準備をする責任は各選手自身にある。計量での失敗が心の傷として残ることもあるが、ロッタンはあの出来事にファイターとしての自分を縛らせるつもりはない。
今も変わらず、自分をここまで引き上げてきたマインドセットでキャリアに臨んでいる。その根底にあるのは、長年の経験と自分自身への深い理解だ。同じ階級で戦い続けた年月の中で、ひとつひとつの決断においてリスクとリターンを天秤にかけながら、今の視点が育まれてきた。
「この方法で7年か8年戦ってきた。少し疲弊するが、それでも続けたい。上の階級に上がれば不利な点が多すぎるし、ケガのリスクも高まる」
「だからどれだけ消耗しても、できる限りこの体重クラスに留まり続けることを選んだ。いつかうまくいく試合が来る」
「ONE SAMURAI 1」に向けて、ロッタンが意識しているのはリング上のパフォーマンスだけではない。世界中のファンにどう感動を伝えられるか。そこまで考えている。勝敗だけで語られがちなスポーツの世界でも、試合にはもっと深い意味があると信じているからだ。
「みんなに愛される選手でありたい。これはスポーツだ。勝つ人もいれば負ける人もいる。武尊の日本ファンも含め、世界の人々に武尊と自分の両方を讃えてほしいと思っている」