【4/29大会】総合格闘技とプロレス、2つの世界で輝く青木真也

Shinya Aoki James Nakashima ONE UNBREAKABLE 1920X1278 2

4月28日(水)の「ONE on TNT IV」で、同じくアジアのレジェンド、エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)と対戦する青木真也は、プロレスラーとしての顔も持つ。

ONEチャンピオンシップではトップクラスのライト級アスリートとして活躍する青木だが、プロレスの舞台ではコブラツイストや卍固めなどのプロレス流の技を繰り出すだけではない。

リングの上でダンスをしたり、サウナを舞台にしたプロレスで対戦相手に冷水シャワーを浴びせて、水風呂に突き落としたりといった戦いぶりも披露しているのだ。

プロレスも表現手法

ONEの舞台で戦う姿しか知らないファンなら、そのコミカルにも見える戦いぶりに驚くかもしれない。だが、青木の哲学を知れば、納得するはずだ。

日本格闘技界きっての⽂筆家としても知られる青木は、格闘技をスポーツ以上の「表現手法」と捉えており、その姿勢を著作やインタビューで発信し続けている。

例えば、日本版ハフポストのインタビューでは青木はこう語っている。

「格闘技は暴力じゃなくて、パンツ1枚でリングに上がる表現だと思っています。メッセージ性が強いし、己の人間性とか性格が丸ごと出る」

そんな青木にとってはプロレスも総合格闘技と同じく「表現手法」の1つなのだ。

「(プロレスでは)僕の考える人間らしさを表せられる。人間はすごいところもあるけど、だめなところもあるって描けていると思う。だから、格闘技の青木が輝くのはプロレスの青木があるからだし、逆もそうだ」と、青木は語る。

強さへの憧れの原点

青木がプロレスに夢中になったのは小学生の頃。「多くの男の子が強さに憧れるように、僕も強さに憧れた。強さの象徴である格闘技に強い憧れを持っていた。たまたまテレビに映ったプロレスラーの姿を見て目を奪われた」と、著作で振り返っている。

当時はお小遣いをやりくりして入場券やグッズのTシャツを購入していたそうだ。

「小学生の頃からのプロレスファン。小学3〜5年生のころ、新日本プロレス」

「2、3千円でも何かは必ず(試合会場に)行ったら買っていた」

青木は、プロレス界の異端と呼ばれたケンドー・カシンに夢中になった。ONEで戦う今も、青木の姿勢にはケンドー・カシンの影響を受けた面があると、日本のファンにはよく知られている。

例えば、青木の代表的な技として国内外のファンに知られる「飛びつき腕ひしぎ十字固め」だが、この技はもともとケンドー・カシンの得意技だった。また、青木はしばしばケンドー・カシンの名言を自身のインタビューで引用している。

「派手な技もしないのに、圧倒的な個性の強さがあった。昔から中心じゃない選手が好きだった。別に、全部エースで四番じゃなくていいと思っていた」と、青木はその魅力を語る。

どこでも「真剣勝負」

青木は大学在学中に総合格闘技プロデビューを果たし、日本の総合格闘技界で輝かしい実績を積んだ後、2012年からONEチャンピオンシップに。その後2014年から大好きなプロレスにも参戦するようになった。

総合格闘技のファンの中には、プロレスは筋書きがある「偽物」の試合と見なす向きもあるかもしれないが、そんなことを青木の前で言ったら、激昂されることだろう。青木にとっては総合格闘技もプロレスも等しく「真剣勝負」だ。

「プロレスっていうのは、(敵と味方の)ファイターがお客さんを魅了するという意味で、真剣にやっている勝負。表現をするという意味で真剣勝負。プロレスでは存在をかけて戦っている。だから、真剣勝負はプロレスにも格闘技にもある」

「本当に好きじゃないとできないし、特にプロレスでは、常にどうやったら物語ができるか、と考えなくてはいけない。理屈が通ってないといけないし、プロレスの面白さをちゃんをわかっていないといけない」

「(総合格闘技とは)全く比較の対象にはならない。プロレスは知的労働だから。僕みたいなタイプは大好き。お互いの良さを出さないといけないから」

お笑い路線もこなす強さ

青木にとってプロレスは腰掛け仕事やアルバイトではない。実際に、総合格闘技の一流選手だからと言って、リング上では特別扱いは望まず、ダンスもするし、パイルドライバーで落とされるし、ブラジャー着用というルールの試合もこなす。

こうして何でもこなせるのが「強さ」だ、と青木は信じている。

「お笑い路線でも何でもしますからね。全部やる。それは僕の哲学で、主義主張。コンテンツの振り幅だと思う。すごく真面目な格闘技をやってる人が、お笑い試合をするのは面白さだし強さだと思う。僕は、そういう強さがあるって大事だと思っているから」

「格闘技選手だから負けたくないとか、お笑いやりたくないという人もいるが、それは僕の考える強さじゃない。何でもオーダーを受けられるのが、プロレスラーとしての強さだ」

こうしてプロレスと総合格闘技の2つの世界を行き来する青木の姿に、ファンも惹きつけられている。青木を媒介に、両方の世界を知るファンもいる。

「そこは面白い。青木真也を熱狂的に好きで、青木真也の本当に深いところを好きという当然(プロレスと総合格闘技の)両方好きという人もいるが、プロレスから入って総合格闘技の青木真也が好きなファンもいる。逆もいる。だから、それはすごくうれしい」

ファン時代の流儀今も

2015年、青木はずっと憧れていたケンドー・カシンと戦う機会を得た。憧れていた対象と試合をするという、ファンとしては夢のような体験だ。

だが、たとえリングで対峙した仲であっても、プライベートでケンドー・カシンに気安く口を聞いたり、写真を頼んだりはしない。

青木にはファンだった子供時代に敬意を表するための独自のスタイルを培い、今も実践しているのだ。

「僕もファンだったからわかっているが(憧れの対象は)自分ができないことをしてくれている人たち」

「ファンで居させてもらっているだけ、という感覚だった。子供の頃そう思っていた。子供の頃から僕はこうやって応援させてもらって嬉しいなって思っていた」

「だから選手と写真は撮らない。プライベートで写真撮ってくださいなんて言わない。自分の好きな選手の時間を奪いたくないから」

強さへの憧れ、ファンとしての流儀、表現者としての姿勢……。プロレスを学びの場として育った青木は、格闘家を夢見る子供たちにも、プロレスの世界を知ってほしいと思っている。

「要は、最終的には人なので。要はお客さんを魅了する、ドラマを作るというのは、プロレスも格闘技も同じなので。プロレスじゃなくても文学でもいいし演劇でも、表現もやった方がいい」

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