新世代アリーフ、伝説サムエーをKO撃破しマレーシア人初のONE世界王者に!「その瞬間を待って確実に決めた」
7月24日タイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された「The Inner Circle 23」メインイベントで22歳のアリーフ・ソー・デチャパン(マレーシア)が2競技・2階級制覇の実績を誇る元ONE世界王者サムエー・ガイヤーンハーダオ(タイ)にKO勝利し、ONE暫定ストロー級ムエタイ世界王者に輝いた。
マレーシア人として史上初めてONE世界王座を手にするまでの道のりは、決して平坦ではなかった。1R序盤は、若さとリーチを武器にする新世代と、経験と老獪さで応じるレジェンドが慎重に読み合う、チェスのような展開だった。
長身のアリーフは動きと間合い、そして精度の高いカウンターでサムエーを寄せ付けず、着実にサムエーを消耗させていく。だがチャンピオンシップラウンドでは、それ以上の一手が必要だった。コーナーには、まさにその答えが用意されていた。
「3Rあたりから、サムエーの動きが落ちてきているのに気づき始めた。5R前にコーナーに戻ったとき、チームから『もっとプレッシャーをかけて、攻撃の手数を増やせ』と言われた」
「だからリングに戻ってからはペースを上げて、前に圧をかけて、攻撃の頻度を増やしていった。それがフィニッシュに繋がったんだ」
アリーフは、リーチを活かした蹴りと鋭いストレートでサムエーを捉え続け、サムエーが間合いを詰めてくるたびに鋭いヒジを差し込んでいた。それでも、無理に終わらせようとはしなかった。
相手は通算378勝以上を誇るサムエーだ。一つの判断ミスが命取りになりかねない。アリーフは最後まで冷静さを崩さず、自分の戦術を信じ抜いた末に、サムエーを完全に沈める一撃を放ち、5万米ドルのパフォーマンスボーナスを手にした。
「コーナーからは『自分のゲームプランを貫いて、冷静でいろ』と言われていた。『フィニッシュのチャンスが来たら仕留めろ。それまでは無理に狙うな』と」
「早いKOを狙っていなかった。ただその瞬間を待って、それを確実に決めただけなんだ」
歴史的な意義もさることながら、その勝ち方もこの達成に一層の重みを与えた。サムエーは格闘技史に残る実績を持つ選手であり、彼に勝つこと、ましてやKOで下すことは滅多にない。
アリーフが手にしたのは暫定王座だが、その内容に「暫定」を感じさせるものは何もなかった。今はただ、自分を疑っていた人々を見返したこの瞬間を、噛み締めていたい心境だという。
「僕にとって、この暫定世界王座は真の世界王座と何も変わらない。サムエーのようなレジェンドを倒すことは、毎日起こることではないから。多くの人から『経験や実績の面でサムエーには敵わない』と言われたが、今日、それができることを証明できた」
アリーフ、正規王者プラジャンチャイとの統一戦へ照準
アリーフがこの瞬間にたどり着くまでには、周囲の支えが欠かせなかった。父はタイでのトレーニングキャンプに初めて同行し、母は栄養面で彼を支えた。マレーシア政府からの後押しもあり、アンワル・イブラヒム首相自らが個人的に激励を寄せていた。
それでも、母国の同胞たちがルンピニースタジアムに押し寄せた光景だけは、どんな準備をしても心構えができるものではなかった。試合後、アリーフは自分の攻撃の度に声援を送ってくれた情熱的なマレーシアのファンたち全員に、感謝を伝えて回った。
「本当に感激している。こんなに多くのマレーシア人がここまで応援に駆けつけてくれるとは思っていなかった。試合前は、これまで頑張ってきたことがついに実現するという思いと、こんなにも多くの人に応援され、支えられているという思いで、感情が溢れそうになった。皆さんに心から感謝したい」
アリーフの勝利が宣告された瞬間、統一戦への機運はもはや語るまでもなく高まっていた。
試合後には、現ONEストロー級ムエタイ世界王者プラジャンチャイ・PK・センチャイがリングイン、二人のフェイスオフが実現し、次の物語ははっきりと形になった。
「プラジャンチャイとはこれまでにも何度か顔を合わせてきたが、今度こそ本当に試合が実現することを願う。彼と戦う準備はできている」
「これから一番大事なのは、もう一度戦略を練り直すこと。彼は私と変わらないスピードを持っていて、両構えで戦える選手。彼が試合に何を持ち込んでくるのかをしっかり研究して、万全のコンディションに整えておく必要がある」