特集

【10/25大会】コマンドサンボの達人・ガフロフ、目指すはONE王座

2019年10月24日

ムイン・ガフロフ(タジキスタン)がONEチャンピオンシップへのデビューを果たしてからもう4年以上が経った。だが彼はまだ23歳であり、ONEバンタム級世界王者のベルトを虎視眈々と狙っている。

ガフロフはコマンドサンボの世界王者であり、優れた格闘家に求められる資質を全て兼ね備えている。相手を打ち倒すパワー、華麗なグラップリング(組み技)、そして何よりもその成功への強い意志が、ガフロフをよりタフな選手に仕上げている。

こうした資質は全て、母国タジキスタンで育ちながら磨かれてきたものだ。彼は悲劇を乗り越え、優れた格闘家になるための道を歩んできた。

10月25日(金)にインドネシア・ジャカルタで開かれる「ONE:DAWN OF VALOR」でジョン・リネカー(ブラジル)と対戦するのに先立ち、ガフロフがこれまでの道のりを振り返る。

父親の不慮の死

Muin Gafurov

ガフロフはタジキスタンの首都ドゥシャンベで生まれた。そして生後わずか数週間の時に父親が殺害されるという、その後の人生を一変させる悲劇に見舞われた。

だがその悲劇にもかかわらず、ガフロフは母や親戚のおかげで充実した子ども時代を過ごし、同時に彼の天職となる格闘技に親しみ始めることになる。

「4人の叔父が自分の面倒を見てくれた。しかも全員、格闘技に携わっていたんだ」

「子どもの頃は楽しかったよ。運動が好きだったけど、母はいつも、もっと勉強させようとしていた」

ガフロフは模範的な生徒であり、もめ事を起こさず一生懸命に勉強したという。だが彼のやりたいことはいつだって、学問ではなかった。

彼はプロサッカー選手になるという夢を抱いていた。だがすぐに、叔父の影響を受けてジムに引き寄せられることになる。

格闘技は「家業」

Muin Gafurov makes his entrance

サッカーが大好きな少年だったが、ガフロフはマットの上で長い時間を過ごす運命にあったと言える。

ガフロフの面倒を見ていた叔父の1人は、タジキスタンのコマンドサンボ協会の会長だった。彼はガフロフにサンボを練習するよう促した。

「プロのサッカー選手になりたかったのに、叔父に邪魔されてね。サンボをやらされたんだ」

「叔父たちはね、自分に同じ道を歩んでほしかったんだ。一族の男性はみんな、格闘技に携わっていたから。14歳になった時、叔父たちは自分をジムに連れていくようになった。最初の頃はよく逃げ出して隠れてサッカーしていたもんだ」

だがやがてガフロフはきちんと指導を受けるようになり、天性の資質を見せつけた。

その後ガフロフは試合に出始めると、若きアスリートとしてはタジキスタン史上かつてないほど、輝かしい成功を収めるようになる。コマンドサンボ世界選手権では2度優勝、国際レスリング連盟(FILA、現・世界レスリング連合)のグラップリング世界選手権でも優勝を収めた。

「グラップリングやブラジリアン柔術、サンボなど、いろいろな種目の大会に参加してきた。タイトルもたくさん獲った。中でも一番は、まだ18歳だった時にコマンドサンボ世界選手権で優勝したこと」

18歳でデビュー

ガフロフが総合格闘家としてプロデビューしたのも18歳の時だ。デビュー戦で強烈な印象を残すため、彼はわざわざ米国・ネバダ州でトレーニング合宿を敢行した。そのトレーニングは高額だったため、ガフロフは夜間に働いて費用を賄った。

「本当に大変だったけど、格闘技のおかげでなんとかなった」

「格闘技のおかげで自分は、身体的にも精神的にも強くなれた。他の人が続けられないという時でも、自分はやり続けられる」

ガフロフの努力はやがて日の目を見る。彼は連勝街道を歩み、ONEのマッチメーカーの目に留まるようになったのだ。

「衝撃だったし、興奮したよ。即決さ。総合格闘家としてのキャリアを一段、深化させるのに絶好のチャンスだった」

ガフロフはまだ20歳だった2015年9月に「ONE:ODYSSEY OF CHAMPIONS」でONEデビューを果たした。Casey Suireを相手に第1ラウンド55秒、圧巻の後ろ回し蹴りを炸裂させノックアウト勝ちを収めた。その次の試合ではトニ・タウル(フィンランド)を第3ラウンドTKOで下し、バンタム級のトップ選手としての地位を固めていった。

ベルトを母国に

Muin Gafurov defeats Leandro Issa

だがその後ガフロフは、バンタム級のトップ選手を相手に敗北が続いた。後に世界王者となるケビン・ベリンゴン(フィリピン)もその一人だ。振り出しに戻されたガフロフだが、昨年10月にはこれまでで最高の勝利を収める。

ONE:KINGDOM OF HEROES」でガフロフは、レアンドロ・イッサ(ブラジル)に対し、衝撃的なパンチでノックアウト勝ちを収めたのだ。そのおかげで彼はまた、世界タイトルへの挑戦に向けて試合を重ねることになった。

ガフロフは1年間待たされたことに不満だったが、リネカーのような世界クラスの選手と対峙することに満足している。この機に世界最強の一人であることを証明するつもりだ。

「リネカーは立ち技が得意な素晴らしい選手だ。彼と対戦し、ムイン・ガフロフが誰なのかみんなに知ってもらいたい」

「自分はあらゆる分野で秀でている。みんな自分を過小評価しすぎだよ。もっと注目するべきだということを証明してみせる。第1ラウンドか第2ラウンドでのKO勝ちを予想している。ファンもきっと大いに楽しんでくれると思う」

もしガフロフが予想通りの勝ち方で、6連続第1ラウンドでのフィニッシュ勝ちを決めれば、ONEバンタム級世界王者のビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)に挑戦する日もそう遠くはないだろう。

「最終的な目標に関して言えば、みんなと変わらない。ベルトを手に入れて、タジキスタンに持って帰ること」

ジャカルタ | 10月25日 (金) | 19時(日本時間) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)