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【11/8大会】ビー・ニューイェン、亡き父から学んだ夢を追う力

2019年11月7日

9月、大会のためにベトナムに帰るのは感情が揺さぶられる経験になるだろうとビー・ニューイェン(米国)は知っていた。

生まれ故郷のベトナムで戦うのは初めてだった。家族のことを思いながら、ニューイェンは沈んだ心でプージャ・トーマル(インド)とのONEスーパーシリーズ女子ムエタイの試合に臨んだ

29歳のニューイェンは1年半ほど前に父を肝臓癌で亡くした。ベトナムに滞在した一週間は父のことをよく思い出していた。だからこそ、ホーチミンのフート·インドア·スタジアムで手にしたスプリット判定勝ちはニューイェンにとって、とても重要なものだった。

「あの試合に勝ったことは大きな意味があった」と、ニューイェンは語る。

「そんなにプレッシャーがある試合になるとは思わなかったけれど、実際にはすごくプレッシャーを感じた。勝利によって解放された感じがした。ものすごく嬉しく興奮したけれど、何よりもほっとした。『ついにやれた。この場所に来て、心に決めたことを実現することができた』という感じだった」

「ようやく勝利の実感が出たのは、判定が出た後に観客席の興奮と熱気を感じた時だった。大会後も数日滞在していたけれど、外食していると人が声をかけてきた。ベトナムの人たちが私をすごく誇りに思ってくれているのが感じられて、本当に嬉しくて胸がいっぱいになった」

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Posted by ONE Championship on Friday, September 6, 2019

ホーチミンでの試合は、ニューイェンにとってスピリチュアルなレベルでもう一度、父親とのつながりを感じる機会にもなった。過去に何年も父と疎遠な時期を過ごした彼女にとっては、特別な意味を持つ時間だった。

一家がベトナムの郊外から日差しの降り注ぐカリフォルニアに移住した時、子どもだったニューイェンはアメリカの文化に適応することを学んだ。

だが、アメリカのライフスタイルに慣れるほど、両親と彼らの持つ伝統的なベトナム式の考え方とつながりを感じることが難しくなっていった。

また、父はアメリカとベトナムを定期的に往復していたために、成長過程で父を深く知る機会はなかなか得られなかった。

故郷で勝利を収めたことで、ニューイェンは少しだけ父と近づけた気がした。

「私にとってはとても重要なことだった。父とは良い関係が築けなかったから」と、ニューイェンは説明する。

「父とはほとんどのことでは理解し合えなかったけれど、格闘技だけは別だった。父は格闘技の大ファンで、私の試合も何度か観に来たことがある。ベトナムと行ったり来たりしていたから、あまり一緒に時間を過ごしたことはなかった。ベトナムにいる期間の方がずっと長かったから」

「故郷のベトナムで娘がこれだけの実力を持ったスターになったところを見たら、父はきっと泣いたでしょう。ものすごく大騒ぎしたと思う。父がいてくれたらよかったと思うけれど、(空から)見ていてくれるとわかっているだけで十分だった」

ニューイェンが父から受け継いだ大きなものが一つあるとしたら、それは夢を追う力だ。

子ども時代、ニューイェンは父が宝くじの束を買うのを見ては、どうしてそんなに当たる確率は低いものにお金を費やすのか理解できないと思っていた。

「私たち家族はよく怒っていた。『もう10年も、宝くじにどれだけお金を使ったの。そのお金があったら家を買えたのに』って」と、ニューイェンは笑う。

だが、成長するにつれ、宝くじは父にとって家族により良い暮らしを与えたいという夢の象徴だったのだと気がついた。



今、大人になったニューイェンは、自分の夢を生き、目の前のチャンスを逃さず最大限に利用することで父への感謝を表そうと決意している。

格闘家としての夢を追う時も、人気リアリティ番組「Survivor(孤島や密林など過酷な環境下で参加者がサバイバルを競う番組。ニューイェンはシーズン37に登場)」への出演を承諾した時も、背中を押してくれたのはその決意だった。

「私のキャリアを追ってきた多くの人たちがいろいろな浮き沈みをくぐり抜けなくてはいけなかった。特に、ファンたちは。私のキャリアは長いし、勝利も敗北もたくさん経験した。良い時も悪い時もあった。それでも夢を追い続けたい」と、ニューイェンは話す。

「どんなことも私を止める理由にはならない。年齢も、経験も、格闘家としてのキャリアの長さも。私はどこまでも夢を追い続けるし、必ず叶えてみせる」

Bi Nguyen makes her way to the ring in Ho Chi Minh City, Vietnam

夢を追い、ベトナムで勝利を手にしたニューイェンは今、これまでにないほど強く父とのつながりを感じている。

ニューイェンは、11月8日(金)にフィリピン・マニラで開催されるONE: MASTERS OF FATEで二種の競技でONE世界タイトルを持つスタンプ・フェアテックス(タイ)とONE総合格闘技アトム級の試合に臨む。最後の準備をしながら、父のことを思い続けるだろう。

以前の彼女なら自分を疑っていたかもしれない。だが、ホーチミンでの勝利は新たなレベルまで士気を高めてくれた。

「今は心の深いところで、父とより強いつながりを感じている」と、ニューイェン。

「年齢を重ねると、すべてが一周するような感覚がある。自分のルーツ、そして故郷とつながることは、私を強くしてくれた。これまでのキャリアで一番、確かな自信を感じている」

マニラ | 11月8日 (金) | 18時半(日本時間) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)