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【2/7大会】歌手で元政府職員、異色の経歴ナイリン・クローリー

2020年2月3日

コミュニケーション学の学士号を持ち、パートタイムで歌手として活動するというのは、総合格闘家の典型的な経歴には聞こえないかもしれない。だがナイリン・クローリー(ニュージーランド)は、典型的なアスリートではないのだ。

2月7日(金)にインドネシア・ジャカルタで開かれる「ONE:WARRIOR’S CODE」で、クローリーはONEチャンピオンシップ本大会デビューを飾る。対戦相手は平田樹で、アトム級マッチを戦う。勝ってまた1つ、キャリアに華を添えたいところだ。

ジャカルタでの試合を前に、30歳のクローリーのこれまでを紹介する。

スポーツ少女

クローリーはニュージーランドのイーストオークランドで生まれ育ち、10代の頃は熱心にスポーツに勤しんだ。

家族もスポーツ好きで、クローリーはネットボールやランニング、ラグビーなどを経験した。さらに重量挙げでは2008年に国内ジュニア大会を制覇したこともある。

「私にとってニュージーランドで育つということは、スポーツをして育つということ。毎日、毎日。スポーツでは本当に勝ちたいという気持ちが強くなった。それが私の競争心の源泉だと思う」

クローリーは時間がある時に歌うことが好きだったが、スポーツ以外で熱心に取り組んだのは学業だった。実際、オークランド工科大学に通い、コミュニケーション学の学士号を取得した。

「主専攻はテレビ制作で、副専攻はジャーナリズム。メディア業界に入るか、学位を生かした良い仕事に就くと決めていた。そしてニュージーランド政府で働くことにした」

総合格闘技との出会い

クローリーは快適な暮らしを送っていた。十分な給料をもらい、時間が許す限りスポーツも続けた。

だがやがて、彼女の生活は予期せぬ方向に向かう。

ラグビーの次の試合の準備に取り組む中で、クローリーは多くの総合格闘家に出会うことになったのだ。

「タグラグビーのリーグでニュージーランド代表だった」

「いわゆるブートキャンプ(軍隊式のトレーニング)について紹介された。参加して体を鍛えてくるよう友人に言われた。それで行ってみたら、たくさんのファイターで溢れていた」

「そのブートキャンプはやばかった。かなりきつい。行けば行くほどトレーナーたちが声をかけてきて、ジムに来ないかと誘ってくるようになった。それでジムに行ってみて、トレーニングを始めたらすぐ夢中になってしまった」



根っからのアスリートであるクローリーは急速に上達した。

トレーニングを始めてからわずか半年で、総合格闘家としてデビューを果たす。その試合で熱狂と興奮を経験したクローリーは、時間の許す限りをトレーニングにつぎ込むことにした。

「その時やっていた他のスポーツを全て辞めた。あまり喜んでいない人もいたが、そのくらいのめり込んだ。最初の試合の直後だった。これが今後、自分がやっていきたいことだって思った」

「格闘技ほど人間のもろさをさらけ出すものはない。より良い人間になるために、そしてより良い格闘家になるために真剣に取り組まなければいけない」

格闘技ジム「Auckland MMA」と「Wild Stables」でトレーニングを始めてまもなく、クローリーは新たな夢を追い求めるため、仕事を辞めてタイに移ることにした。

親の反対

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"All our dreams can come true if one has the courage and determination to pursue them" Sacrifice is a funny thing. You have to almost remind yourself everyday why you do what you do. This picture represents everything for me. The sacrifice, the tears, the happiness and most of all the love for the sport. Not many people know how much we all sacrifice to succeed in this sport, and although it is hard at times; it is by far the most rewarding thing I have ever experienced in my life. I am blessed with a lot. An amazing team at Wild Stables, family and friends that love me and support me beyond all measure, and trainers that believe in me more than I believe in myself. @madetofit you have been the driving force to this title and although this is the beginning, I need to acknowledge that without you dealing with my mental breakdowns, my tears and my smart mouth I would not be here today. I fight to make you proud and I can't ever thank you enough. Roger Earp, Makoto, Hamish, Van, Dana and my homie @_themarshalletk I am forever grateful for your wisdom and the time you give me to make me a better version of myself every day. This is the beginning. #winnerwinner #wkbf #atomweight #titlefight #goals #blessed #grateful #emotionalpost #muaythai #girlfight

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クローリーは安定した政府でのキャリアを捨て、総合格闘家としての夢を追求することにした。未知の世界へ飛び込むことは、若きクローリーにとっては非常に困難なことだったようだ。

結局のところ、自分の新しい生き方について両親に告げたとき、思っていたほどの騒ぎにはならなかった。

「私にとっての最大の試練は、両親の賛同を得ることだった」

「家族はいつも私を愛し、支えてくれた。でも格闘技についてはあまり理解できるものではなかったと思う。私に関して彼らなりの夢や計画があって、私にとってベストなことを願ってくれた。でも格闘技は想定していなかったと思う」

彼女の姉チェリー(Cheree)は現在、米国の団体「ワールド・レスリング・エンターテイメント(WWE)」に参戦し、”Dakota Kai”のリングネームで戦っている。だからクローリーの両親は既に、一般的とは言えない職業に引き寄せられる子どもたちの生き方に適応しなければならなかったのだ。

だがその後、クローリーは自分が選んだキャリアについて、家族の心配を消し去ることができた。タイに移り住む前に、ニュージーランドでの試合を見に来るよう、説得することさえできた。

「勝ち続けるほど、私の道はこれなんだって両親を安心させることができるほど、両親は応援してくれると思う」

「私がケガをしたり、目を黒く腫らした時の写真を見せたりすると、両親はやはりい顔はしない。私にとって一番大変だったのはおそらく、両親から応援してもらうことだった。だって両親に応援してもらえなかったら格闘技を嫌いになっていたかもしれない」

予期せぬ幸運

2018年初めにクローリーは再び引っ越した。今回の行き先はインドネシア。総合格闘技ジム「Bali MMA」で、コーチのアンドリュー・リオン(米国)をはじめとするONEのベテラン勢とともにトレーニングを始めた。

到着してすぐクローリーは、インターネットでONEウォリアーシリーズ(OWS、ONE若手発掘のためのリアリティ番組・大会)に関する告知を目にしたのだ。OWSは将来有望な才能を探しており、クローリーは興味をそそられる。

「バリにはそれほど長くはいなかった。たぶん2か月くらい、そしてそれからチャンスがやってきた」

「インターネットで告知を見たが、参戦することは考えてもいなかった。場所がジャカルタだったし、飛行機代を払えるかわからなかったから」

「そのことをトレーナーに話して、それから2週間くらいしてから呼び出された。ヘッドコーチが『準備に取り掛かるぞ。トライアルは2週間後だ。航空券はもう手配済みだ』って。飛行機は私が知らないうちに私の代わりにオンラインで取ってくれていた」

クローリーはOWSへの参戦が決まり、コーチたちの粋な計らいは報われた。

そしてクローリーは2勝を挙げる。まず2018年3月のシーズン1でキム・ソユル(韓国)を相手にユナニマス判定勝ち。そして同7月のシーズン2で、アニタ・カリム(パキスタン)を第2ラウンドにサブミッション勝ちで下した。その後は2連敗としたものの見事なパフォーマンスを見せ、今月に入ってONEで、ニュージーランド女性として初の本戦契約を勝ち取った。

クローリーにとって、2月7日の「ONE:WARRIOR’S CODE」は大きなチャンスだ。無敗の平田に勝利できれば、さらに最終目標に向かって一歩近づけるかもしれない。

「ニュージーランドを離れたときの目標は、2年以内に世界タイトルを獲ることだった。そのために一生懸命取り組んでいる」

「ONEチャンピオンシップで是非タイトルを獲得したい」

ジャカルタ|2月7日 (金) |ONE:WARRIOR’S CODE|公式アプリで生中継(無料)|日本公式Twitter日本公式Instagram

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