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【10/13大会】「どんな挑戦でも受ける」久米鷹介、成功への軌跡

2019年9月30日

パンクラスライト級世界王者の久米鷹介は常に、この上ない謙虚さと敬意をもって、日本の武道の本質を体現している。

その優しくて柔和な性格と、試合での爆発的な身体能力により、日本中にコアなファンを獲得してきた。

久米の成功への道のりはたやすいものではなかった。いつも迷うことなく、強敵との対戦を受け入れてきたためだ。しかし絶え間ない努力により、日本のトップに上り詰めた。久米は今、ONEでの初めての試合に向けて、準備に余念がない。相手は修斗世界王者の松本光史だ。

10月13日(日)に東京・両国国技館で開かれる「ONE:CENTURY 世紀」第2部での試合を前に、久米が成功への軌跡を語った。

柔道に夢中

Takasuke Kume at the ONE CENTURY media day in TOkyo

久米は愛知県に生まれ、非常に伝統的な家庭で一人っ子として育った。両親は規律と礼儀を重んじる人で、しつけは厳しかったが、惜しみない愛情で彼を支えた。

久米は幼い頃から力が強く、体格にも恵まれていた。子どもの頃はサッカーと野球をやっていたが、彼が惹かれたのは柔道だった。有名なスポーツ漫画「柔道部物語」(講談社)を読み、テレビによく出ていた五輪金メダリスト井上康生にあこがれを抱いた。

10歳の時に地元の道場に入門。サッカーに熱中した中学時代はあまり柔道の練習はしなかったが、高校では柔道部に入り、再び情熱を燃やした。

「柔道で好きなのは、きれいな一本勝ち。タイミングが合ってきれいに投げが決まるのは、すごく気分がいい」

高校卒業後、久米は名古屋の中京大学に進学し、体育を学びながら格闘技の技を磨き続けた。

プロへ転向

久米が大学生の頃、世間は総合格闘技ブームだった。地元の総合格闘技道場「ALIVE」の前をよく通りかかるうちに、久米の好奇心はそそられていった。

すぐに道場に入門したものの、最初は体を鍛えるためだけのつもりだった。久米が19歳の時のことだ。

「プロになることは考えていなかった。体を動かしたかっただけ」

だがコーチはすぐに、彼の身体能力とポテンシャルを見抜く。そして久米がは大学3年生だった2007年、修斗でプロデビュー。道場の指導者、鈴木陽一や重久正、ベテランの日沖発、ブラジリアン柔術黒帯の杉江“アマゾン”大輔らとのトレーニングのおかげで、そこから10試合負けなしという快進撃を見せたのだった。

卒業後は警備会社に就職したが、プロの格闘家としてもっと何かできるのではと感じていた。そして半年後に会社を辞め、ALIVEでのトレーニングに専念することにしたのだった。

ケガと失意

Takasuke Kume speaks at the ONE CENTURY media day

2013年に入る頃には、久米は15勝1敗4分という戦績を残し、韓国の総合格闘技団体「ロード・ファイティング・チャンピオンシップ(ROAD FC)」でタイトル戦に挑もうとしていた。しかしナム・ウィチョルを相手に、延長戦までもつれた末に判定負け。約半年後のナムとの再戦でも再び判定で苦杯を舐め、タイトル獲得はならなかった。

久米は失望したが、諦めるという言葉は彼の辞書にはなく、再び挑戦者として戻ってきた。だが今度は、クォン・アソルを相手に、再び判定で敗れたのだった。

「韓国で3回目のタイトル戦に負けたときはしんどかった。いろいろな人が支えてくれて、わざわざ韓国まで応援しに来てくれた人もいたから。その試合の後は本当に落ち込んだ」

久米はパンクラスで再び立ち直ったが、今度は網膜剥離というケガに泣かされる。引退もあり得るほどのケガだったが、日本の総合格闘技の象徴的存在でもある川尻達也のサポートを受け、国内最高の病院の一つにたどり着いた。

手術は成功し、久米は完全に回復することができた。試合には1年間出られなかったが、格闘技への情熱は胸に抱いたままだった。

「総合格闘技の魅力は、試合がどう展開していくかというところ。いろいろなパターンがある」

「工夫が必要なんだ。試合へのアプローチとしてはいろいろな戦術があるし、対戦相手によっても変わってくる。厳しい、勝つか負けるかの世界だが、本当に楽しい」

念願の王座

Takasuke Kume defeatetd Kazuki Tokudome to become Lightweight King Of Pancrase

久米は復帰戦で勝利を挙げると2016年、パンクラスライト級世界王者の徳留一樹に挑むチャンスを得た。そして第1ラウンドTKO勝ちでとうとう、初のベルトを手にしたのだった。

「パンクラスの世界タイトル獲得は、自分のキャリアの中で最も幸せな瞬間だった」

「それまでに何度も失敗してきたから、世界チャンピオンになれたことは間違いなく最高の思い出」

久米はその後、初防衛に成功し、ONEの舞台に上がることになった。34歳となった今、世界最高のアスリートたちと戦えることを楽しみにしている。

「ONEには強豪がひしめいている。チャレンジングな試合になるだろうが、世界最強の選手たちを相手に、自分を試したい」

「自分は経験豊富。戦ってきた証として、ONEで実力を証明したい。どんな挑戦でも受ける。誰と戦っても、素晴らしい戦いをしてみせる。敵が強いほどやる気がでるから」

「今は松本のことしか考えていないが、誰が自分の前に立ちふさがろうとも、最高のコンディションで立ち向かう」

東京・両国国技館 | 10月13日 (日)  | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)

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「ONE: CENTURY 世紀」は、さまざまな格闘技から28人の世界チャンピオンが参戦する、史上最大の世界選手権格闘技イベントだ。フルスケールの世界選手権格闘技イベント2大会が同日開催されるのも、史上初めてのことである。

複数の世界タイトル戦、世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦3試合、そして世界チャンピオン同士の対決をふんだんに取りそろえ、ONEチャンピオンシップが東京の両国国技館で新地平を切り拓く。