Mixed Martial Arts

【12/6大会】ONE2戦目ソヴァナリィ・エムのルーツと格闘技

2019年12月4日

圧巻のONEチャンピオンシップデビュー戦からほぼ1年。ソヴァナリィ・エム(カンボジア/米国)がONEに帰ってくる。

12月6日(金)にマレーシア・クアラルンプールで開かれる「ONE:MARK OF GREATNESS」で、これまで無敗を誇るエムは、ONEデビュー戦となるラヤネ・バストス(ブラジル)と対戦する。

エムはまだ総合格闘技のキャリアを築いている途上だが、ここまで衝撃的な試合を見せてきた。これまでに挙げた3勝は全てノックアウト勝ちであり、しかも3試合を合わせても3分に満たない時間で試合を終わらせているのだ。

マレーシアでの試合を前に、エムがこれまでを振り返る。

米国とカンボジア

エムの祖父母と母親は1980年代初頭、カンボジアから米国に移住した。エムは後の1992年に、カリフォルニア州ロングビーチで生まれた。国内で最もカンボジア人が多く住む都市だ。

子どもの頃、エムは祖父母とカンボジアの言葉で話していたため、自分のルーツについて学ぶことができた。

「祖父母の面倒を見ていた。彼らはクメール語しか話せなかった」

「子どもの頃はクメール語を話せたが、大きくなって忘れてしまった。若い頃はカンボジアの文化にたくさん触れていた。寺院に行ったり、カンボジアの食べ物や音楽も周りにあった」

クメール語を忘れてしまったため、エムはやがて祖父母とあまり交流することができなくなった。

悲しいことに、彼らとより強い関係を築く前に、時間はなくなってしまった。

「成長するにつれ、特にロングビーチから引っ越したこともあって、カンボジアのルーツから切り離されてしまっていることに気づいた」

「祖父母はクメール語しか話せなかったから、あまりコミュニケーションをとることができなかった。そうしているうちに彼らは亡くなった」

20歳でボクシング

エムは外で遊ぶのが大好きな活発な子どもだった。だが家族は経済的に豊かではなく、チームスポーツに参加することは全くと言っていいほどなかった。

ビデオゲームや映画を通してエムは格闘技に夢中になった。だが興味を深める以上のことはできなかった。両親には彼女をレッスンに参加させる余裕はなかったからだ。

「トレーニングするための手段など何もなかった。レッスンとかそういうことは選択肢として考えたこともなかった」

だが20歳の時に状況は変わった。体型を維持し体力を向上させるために、ボクシングのトレーニングを始めたのだ。

最初はキャリアとしてボクシングを追求したいとは思っていなかった。だが初めてパンチを打った時、キックボクシングのとりこになった。

「その時の友人で今のボーイフレンドが、ロングビーチのこのジムを紹介してくれた。彼にコネがあったから、試してみようと思っただけ」

「まだ会費を支払うことができなかったが、とにかく試してみた。そこにいたコーチがとても優しい人で、無料でトレーニングさせてくれた」

「驚いたのは、格闘ゲーム『ストリートファイター』をプレーしたり、カンフーの映画を見たりしている時より夢中になったこと。『パンチしているだけなんて退屈』って思っていたから。でもボクシングのとりこになった。それが今でも私の初恋」

総合格闘技の壁

エムはボクシングが大好きになったが、格闘技の専門知識を身に着けたくなりブラジリアン柔術とレスリングのトレーニングを始めた。

米国の柔道家で総合格闘家のロンダ・ラウジーに触発されたエムは、当初、ボクシングから総合格闘技への移行は簡単だと思っていた。だがすぐに自分が間違っていたことに気づく。

「ボクサーだったから、上達は遅かった」とエムは認める。

「レスリングやグラップリング(組み技)を少しでもかじったことがある人なら誰でも、私のパンチをかいくぐってテイクダウンを奪うことができた。実際それは何度も何度も起きた」

「本当にイライラさせられた。自分のボクシングが役に立つと思ったのに、そんなことはなかった」

エムは落胆したが、グラップリングのスキルを改善し強化することに努めた。練習を続け技を磨き続けたことで、やがて報われることになった。

「ものすごく長い時間がかかった」

「自分のゲームにレスリングの要素を加えないといけないとは分かっていた。練習には行ったけど嫌いだった。でも最終的にようやくうまくできるようになったから、ゲームに取り入れている」

王座を夢見始め

ONE参戦が決まった時は、エマにとってエキサイティングな瞬間だった。だがそれ以上にスリリングだったのは昨年12月、デビュー戦でイリーナ・キセロワ(ウクライナ)を81秒でTKO勝ちを決めた時だ。

だがこの勝利によりエムは決意を固くした。

エムは総合格闘技で3試合しか経験がないが、だからといって将来のことを語る資格がないわけではない。

「行けるところまで行きたい」

「ONE2戦目を迎えようとしている。その後2、3試合を戦って、できればタイトル戦に挑戦したい。いつかタイトルを賭けた試合に出たい。ストロー級に階級を落とすことも可能性としてはある」

「今のところ全て、ただのアイデアに過ぎない。フライ級で戦うことに集中しているし、その後にタイトル戦に挑戦できる可能性もある」

もう1つの目標は、ONEのカンボジア大会に参戦することだ。

エムはまだカンボジアを訪れたことはない。祖先の故郷を訪れ、カンボジアの人たちのためにパフォーマンスをすることは、エムにとては夢のような展開だ。

「最近まで気づかなかったが、戦うことはカンボジア文化の大きな部分を占めている」

「カンボジアで国を代表して試合ができて、カンボジアの文化や伝統を味わうことができたら、それは素晴らしいことだ」

クアラルンプール | 12月6日 (金) 19時(日本時間) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)