【10/13大会】青木真也から闘魂継承、最年少世界王者クリスチャン・リーの足跡

Christian Lee DC 9871

10月13日(日)の「ONE:CENTURY 世紀朝の部で行われるONEライト級世界グランプリ(WGP)決勝戦で、現ONEライト級世界チャンピオン、“ザ・ウォリアー”ことクリスチャン・リー(シンガポール)がザイード・フセイン・アサラナリエフ(トルコ)と戦うことになった。

エディ・アルバレス(米国)の負傷欠場を受け、試合2週間前のオファーを引き受けての代打出場。

21歳のリーは、これまで朴光哲にノックアウト勝ち、横田一則に一本勝ち、徳留一樹にノックアウト勝ち、青木真也にノックアウト勝ちと、大物日本人選手を次々に倒してきた。この記事では、格闘技界で最も輝く若手選手である、リーのこれまでの歩みをONEチャンピオンシップ編集部が行なったインタビューなどから振り返る。

高校生選手

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Posted by ONE Championship on Friday, May 17, 2019

リーはまだ高校3年生だった2015年に、ONEチャンピオンシップでプロデビューを飾った。デビュー戦は第1ラウンド29秒、あっという間の鮮烈なノックアウト勝ちだった。それから4年、現在21歳のリーはこれまでに12勝3敗の戦績を積み上げてきた。12勝の内訳は、8勝がノックアウト、4勝が一本勝ち、判定勝ちはゼロである。つまり、フィニッシュ率100%を誇っているのだ。なおリーは、ONEチャンピオンシップの最多勝数、最多フィニッシュ数、さらに最多ノックアウト数の記録も持っている。

リーはデビュー以来一貫してフェザー級を戦場としてきた。だからこそ、今年3月にスタートしたONEライト級ワールドグランプリにリーは参加をしていないわけである。しかし今年5月「ONE:ENTER THE DRAGON」で、当時のライト級世界王者だった青木から逆指名を受ける形で、フェザー級からライト級に階級を上げていきなりタイトルマッチに臨んだ。

リーが16歳の時に初めて練習をしたという青木は、「彼には予定調和がない。構えて相手を見ての攻防が存在しません。自分が打ったら打ち合わずにタックルや間合いを外す。その中でコンビネーションとして波状攻撃があります。そしてリズムが独特なので相手は対応に困るはず…彼の関節蹴りで相手はリズムが外れます。そこで自分だけ攻撃を入れる。賢すぎる。彼の攻撃は理屈があって聞いていて楽しい」と2018年11月、自らのブログでリーを高く評価していた。

青木の賛辞

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青木との試合は、見事なノックアウトで勝利。ONE最年少記録となる20歳で総合格闘技の世界チャンピオンになった。

試合前には、リー苦戦を予想する向きも多かった。対戦相手が百戦錬磨の青木だというだけでなく、リーにとっては階級をライト級に上げての初戦で、体格面での不利も見込まれていたからだ。実際、この試合の第1ラウンドでは、強いプレッシャーでリーをロープ際まで追い詰めた青木がテイクダウンに成功すると、すかさずマウントポジションを取り、そこからアームバーへと移行するという青木お得意の流れるような展開が見られた。

しかしこのフィニッシュ寸前の大ピンチをどうにかして切り抜けたリーは、第2ラウンドに入ると別人のように活きのいい動きをみせ、わずか51秒、打撃の速射砲で青木に何もさせず、そのまま一気に倒しきった。

「あのアームバーはがっちりと決まっていた」とリーは試合後のインタビューで語っている。

「でも、タップしようという考えはこれっぽっちもなかった。自分にとって、大事な試合でタップをするという選択肢はどうしてもありえないことなんだ」

「第1ラウンドがちょうどいいウォームアップになって、何だか頭がスッキリした。だから第2ラウンドに入ると、最初から、想定していたゲームプランを実行に移した。つまり、打撃で青木を崩すということだ」

試合後にチームメイトでもあり友人でもある青木から、「君こそがこれからアジアのマーシャルアーツを背負っていくべき人物だ。自分のベルトとキャリアを喜んで君に引き継ぎたい」と告げられたというリー。青木からの闘魂継承を受け、ここからリーはいよいよ自分流で王者の道を歩むことになった。

姉弟で戴冠

When your little bro achieves his lifelong dream ????

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Posted by ONE Championship on Friday, May 17, 2019

この試合のリングサイドには、リーの戴冠劇に喜びを見せる姉、ONE女子アトム級世界王者アンジェラ・リーの姿もあった。姉・弟のコンビで総合格闘技の世界チャンピオンになったのは史上初のことだ。

「姉弟でダブル世界チャンピオンになることは、ずっと私たちの目標だった。弟の腰にベルトが巻かれた時には、思わず自分がタイトルを取った時のことを思い出して、すごく幸せな気持ちになった。本当に良かった。言葉では表しきれないほどだ」とアンジェラは振り返っている。

リングサイドでは、アンジェラだけではなく、父親のケン、母親のジュエルズ、高校のレスリング部で出会って以来の付き合いだというフィアンセのケイティも、みんなが祝福していた。

「ベルトを取った時のことはハッキリと覚えている。リングアナウンサーの声も、スポットライトの明るさも、みんながリングサイドにいてくれたことも、僕はけして忘れないと思う」

格闘技一家

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リーの両親は共に格闘技インストラクターで、もともとはカナダのバンクーバーで3つの道場を運営していた。リーはよちよち歩きの子供の頃から、身の回りに当たり前のように格闘技がある環境で、姉と一緒にパンチ、キック、取っ組み合いをしながら育ったのだ。

「子供の頃は練習は好きではなかったけれど、思い返してみれば、父からは格闘技精神のしつけをたたき込まれていたのだと思う」とリーは語っている。

約15年前、一家はハワイに移住し格闘技ジム「United MMA」を開いた。この頃から両親は姉弟に護身術を身につけさせようと、ボクシングやブラジリアン柔術などの練習を始めさせた。

やがて姉弟は地元のグラップリング大会や立ち技のトーナメントに力試しで出場し始め、勝利の味を知るようになる。姉弟が活躍の場をパンクラチオン(打撃と組み技を使う古代ギリシャの格闘技)に広げると、あっという間に全米トーナメントで優勝、2012年にアテネで開催された国際大会では、クリスチャンは世界王座を1つ、アンジェラは2つ獲得という偉業を達成している。

「その頃には、僕は自分の将来の進路を見定めていた。僕は両親に、プロの格闘家になりたいと宣言したことを覚えている。14歳の頃のことだった」とクリスチャンは言う。

強さの秘密

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Posted by ONE Championship on Tuesday, December 5, 2017

高校生になったリーは、United MMAで毎日トレーニングを積んだ。リーは、そんな日々を「Eat, Sleep, School, Train(食べて、寝て、登校して、練習して)」で言い尽くせる、と今年の青木戦を前に、ONE編集部の取材に語っている。

そしてリーが高校3年生だった2015年8月、姉弟でシンガポールに飛び、名門Evolve Fight Teamに参加、さらにほどなくONEチャンピオンシップとも契約をした。29秒ノックアウト劇となったデビュー戦は、同年12月のことだった。

「デビューが決まった時には、現実の出来事だとは思えなかった」とリーは振り返っている。「試合のことしか考えられなくなった。まるで世界中の動きが止まってしまって、自分と試合以外には何もないかのように思えた」

その後リーは2016年5月に高校を卒業するまでに、ONEで4勝を挙げた。

子供の頃からの環境、家族の支え、そして格闘技への探究心。リーを支えている強さの秘けつは、次のような言葉によく表れている。

「僕は子供の頃に、打撃もグラップリングもレスリングも全部学んだ。それぞれの分野を別々に学んで後から組み合わせたのではなく、最初から総合的に1つのものとして学んだんだ。だから姉も僕も、こんなにオールラウンドな総合格闘家になったんだ」

「朝5時に起きてランニングにでかけることなど、僕にとってはわけもないことだ。好きでやっていることだし、なぜやるべきなのかも分かっているからね。よく、試合がない時には何をしているのですかと聞かれる。僕はね、あいている時間の9割は、試合を見ているんだよ。一日中でも見ていられる。できるだけたくさんの試合を見て、どんなテクニックが使われているのかを学んでいるんだ」

 

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東京・両国国技館 | 10月13日 (日) 9時(朝の部)/17時(夜の部) | チケット好評発売中!!

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「ONE: CENTURY 世紀」は、さまざまな格闘技から28人の世界チャンピオンが参戦する、史上最大の世界選手権格闘技イベントだ。フルスケールの世界選手権格闘技イベント2大会が同日開催されるのも、史上初めてのことである。

複数の世界タイトル戦、世界グランプリチャンピオンシップ決勝戦3試合、そして世界チャンピオン同士の対決をふんだんに取りそろえ、ONEチャンピオンシップが東京の両国国技館で新地平を切り拓く。

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