特集

2019年第3四半期、ONE総合格闘技戦ベスト5

2019年10月1日

幾多の年間有数の好勝負が展開された2019年第3四半期が終了した。パワフルな打撃戦、驚きのグラップリングの攻防、そして敗戦の縁からよみがえり、劇的な勝利をつかみ取るアスリートたちの強いハートと思いを堪能できる試合がたくさんあった。

ここでは2019年7月から9月に行われたONEチャンピオンシップの総合格闘技戦トップ5をご紹介しよう。

#1 エブ・ティンと阿部大治、一進一退の攻防

ONE: MASTERS OF DESTINY」(2019年7月マレーシア・クアラルンプール)での激戦で、阿部大治の序盤の熱すぎる猛攻をしのぎ切り、そこから勝利を奪い取るために、エブ・ティン(ニュージーランド)は、持てる勇気の全てをつぎ込んだのだった。

元ウェルター級キング・オブ・パンクラシストの阿部は第1ラウンド、突き刺すような右パンチでティンからノックダウンを奪う。その後も阿部は、距離を詰めてくるティンを、巧みな動きで押さえ込み、試合の主導権を握る。

足元もおぼつかなくなる中、異次元の頑丈さで何とかサバイバルしたティンは、ぐっとマウスピースをかみしめると、オーバーハンドライトで逆襲に転じる。

母国マレーシアのファンの大歓声の後押しもあって、ティンは第1ラウンドの終わりには形勢をばん回し始め、第2ラウンドに入るとグラップリングと打撃の激しい攻防で、阿部に対して優位に立つ。

ラウンド半ばにティンの右パンチがクリーンヒットすると、ダウンする阿部。ティンはグラウンド・アンド・パウンドでさらなる圧力をかける。第2ラウンド残り16秒で、ティンのパンチで阿部のガードが崩れたところ、ティンは素早くバックに回るとリアネイキッドチョークを決め、クアラルンプールでの自身の連勝記録を10に伸ばしたのだった。

#2 アルバレス対フォラヤン、濃密な136秒

ONE: DAWN OF HEROES」(2019年8月、フィリピン・マニラ)で行われたONEライト級ワールドグランプリ準決勝、エディ・アルバレス(アメリカ)対エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)には、濃厚なアクションが詰め込まれていた。

地元マニラのファンの前で、いきなりの猛攻に打って出たフォラヤンの左フックがアルバレスを捉えると、直後の強烈なローキックでダウンを奪う。明らかに効いているアルバレス。フォラヤンのグラウンド・アンド・パウンドの追撃に、まさに敗戦の縁にまで追い込まれていたのだ。

ところがアルバレスはその猛撃をしのぎ切ると、フォラヤンの積極性を逆利用して体勢を入れ替え、トップポジションを奪い取る。

そこからアルバレスはすばくフォラヤンのバックを取り、首に腕を巻き付けると、試合時間2分16秒、リアネイキッドチョークで劇的な逆転勝利を挙げたのだった。

#3 竹中大地、イッサとのスタイル対決に勝利

「ONE: DAWN OF HEROES」で行われたバンタム級戦で、竹中大地レアンドロ・イッサ(ブラジル)はお互いの全ての技をぶつけ合った。

第1ラウンド、グラウンドでの一進一退の攻防の中、竹中がアグレッシブな攻撃でブラジリアン柔術世界王者を驚かせる。しかしイッサも最終的には主導権を握り、トップクラスのグラップリング技術で試合をコントロールし始める。

それでもイッサが一本を取ることができないでいると、試合が進むにつれて竹中が自信を回復、ダイナミックな打撃でイッサに圧力をかけ始める。

イッサも反撃するが、竹中は打撃で攻め続ける。試合が決着を見たのは最終ラウンドのことだった。竹中がスーパーマンパンチを放ってイッサをダウンさせると、そこからグラウンドでの打撃の雨あられで追撃し、この激戦に終止符を打ったのだった。

#4 名勝負となったフライ級世界GP準決勝

格闘技ファンは、「ONE: DAWN OF HEROES」で行われたONEフライ級世界グランプリ準決勝、ダニー・キンガッド(フィリピン)対リース・マクラーレン(オーストラリア)の試合が、フルラウンドにわたる疾風怒濤の一戦になることを期待していた。そしてその期待は満たされたのだった。

試合序盤にはキンガッドがウーシュー仕込みの重たい打撃で攻め込むも、マクラーレンがレスリングとブラジリアン柔術の技術を駆使して試合をグラウンドに持ち込み、第1ラウンド、第2ラウンドを通じて、幾度となく関節技の仕掛けでキンガッドを脅かす。

キンガッドは不利なポジションを何度も脱出するが、もはや試合残り時間は5分、勝利を得るためには決定的な場面を作るしかなくなった。

そして地元マニラのファンの期待に応えて、キンガッドは逆襲に転じた。トーナメント決勝戦進出をかけて、キンガッドはギアを入れ直し、ポジションの取り合いを制すると、試合終了のゴングが鳴るまで容赦ないグラウンド・アンド・パウンドの集中砲火を続け、僅差のスプリット判定勝ちを手中にしたのだった。

#5 ロタナとバラートの全力3ラウンド

ONE: DREAMS OF GOLD」(2019年8月、タイ・バンコク)で行われたフライ級戦で、チャン・ロタナ(カンボジア)の打撃は、元五輪レスラー、グスタボ・バラート(キューバ)のトップクラスのグラップリングの前に沈黙を余儀なくされていた。

常にチャンスをうかがっていたロタナだったが、バラートの近距離での試合運びはとにかく力強く、最初の2ラウンドにわたり、ザ・サークル内でロタナを千切っては投げ状態だったのだ。

しかしロタナも、クン・クメール(カンボジアの伝統的な立ち技格闘技)で培った自分の実力を信じ続け、持ち前の耐久能力で終盤のチャンスを作り出し、勝利をもぎ取ったのである。最終ラウンド、攻め疲れの目立つバラートの勢いが衰えた頃、ロタナにはまだそこから攻勢に転じるに十分なスタミナが残っていたのである。

ロタナはパンチ、キック、ヒザ、ヒジを自在に繰り出し、バラートを追い込むが、バラートもどうにかフィニッシュを免れ、試合は終了する。しかしジャッジはロタナの終盤の猛攻が圧倒的だったと判断、ロタナの判定勝ちを宣告し、この試合はカンボジアで長く語り継がれる名勝負となったのであった。

おすすめ記事: 【10/13大会】「ONE: CENTURY PART Ⅱ」出場選手の名勝負5戦