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全14戦フィニッシュ勝ち、ユーリ・ラピクスのこれまで

2020年4月17日

ユーリ・ラピクスは、15歳の時に生まれ故郷のモルドバ共和国を離れ、イタリアに移った。そのため、10代の頃は移民として辛い経験を乗り越えなければならなかったが、幸いにも格闘技が居場所を与えてくれた。

およそ10年が経ち24歳になった今、ラピクスは、イタリア・ミラノの強豪「チーム・ペトロシアン」でトレーニングに励んでいる。

ラピクスは、今年2月の「ONE: WARRIOR’S CODE」のライト級マッチで、マラット・ガフロフ(ロシア)と対戦し、わずか67秒で一本勝ち。自身13度目の第1ラウンドでのフィニッシュ勝利で、無敗記録を14に伸ばした。

この記事では、ONEチャンピオンシップでも大注目の無敗アスリートとして浮上したユーリ・ラピクスのこれまでを振り返る。

モルドバからイタリアへ

ラピクスは、モルドバの村グラ・ブクルイ生まれた。両親と兄とともに、田舎で幸せな子供時代を過ごした。

「自然や動物に囲まれて育った子供時代は懐かしい思い出だ」

ラピクスは移住先で辛い時期も経験したが、すぐに第2のホームに馴染むための方法を見つける。

「一番難しかったのは、社会に馴染むこと。現地の言葉も離せない状態で10代で新しい国で暮らすのは、本当に難しかった」

「この過程で、スポーツの中でも特に格闘技には大いに救われた。接触を含むスポーツというのは、一般的に、ストレス解消にはもってこいだし、自律や自尊心も培われた」

イタリア移住は、格闘技への興味を改めて確認する機会になったばかりではなく、大会出場への道も開いた。

「当時、クラスメートが総合格闘技を紹介してくれた」

「彼のジムに一緒に行くように誘ってくれて、最初に見た時に好きになった。他の流派にも興味を持つようになって、総合力の高い格闘家になりたいって決心した」

ラピクスは、グラップリング(組み技)に親しんでおり、それによって基礎を固めることができた。数年後、懸命な努力の末、2014年に総合格闘技でプロデビューし、第1ラウンドで一本勝ちを収めた。

ペトロシアン兄弟と共に

ラピクスはスキルを磨く過程で、素晴らしいメンターを得ることができた。ジョルジオ・ペトロシアンと弟のアーメン・ペトロシアンだ。

「2人とも偉大なチャンピオンだが、人間としてとても特別だ。リングの内外を問わず助けてもらった。彼らは家族のようなものだ」

「彼らに教わった大切なことは、どんなに成功しても謙虚でいなければいけないということ。犠牲と根性がなくては、どんな分野でも成功できないということ」

「チーム・ペトロシアン」での2人のキックボクシングの世界チャンピオンの指導の下、ラピクスはどんな局面でも強みを発揮できる、総合力の高いアスリートへと進化した。

プロの最初の4年間、ラピクスはイタリアの団体で、4つのKO勝ちと8つの一本勝ちで、第1ラウンドでフィニッシュ勝利を12度挙げるという恐るべき記録を打ち立てた。

ONEでのこれから

Iurie Lapicus defeats Shannon Wiratchai

ラピクスは、2019年5月の「ONE: ENTER THE DRAGON 」でONEにデビュー。シャノン・ウィラチャイ(タイ)を相手に第3ラウンドでリアネイキッド・チョークによる一本勝ちを挙げ、無敗を保った。

続いて今年2月の「ONE: WARRIOR’S CODE」では、元ONEフェザー級世界王者のガフロフを相手に自身13回目の第1ラウンドでのフィニッシュ勝利。トップコンテンダーとして名乗りを挙げた。

自身のキャリア史上最高の勝利を挙げた後、インタビューに答えたラピクスは、次の目標として王者クリスチャン・リー(シンガポール)への挑戦について語った。

「(この勝利は)最高だ。だが、自分にとっては記録上でのまた1つの勝ち星にすぎない。謙虚でありつつも自信を保っているが、ONEの元世界王者をフィニッシュできて、存在感が増し、世界タイトル挑戦へのチャンスも近づいた」

「この勝利でこの階級でどんな位置付けになるか興味があるが、トップ5には食い込んだと思う」

「自分がリングでどんなことをできるか分かっているし、自分は世界の一流ファイターの一員だと信じている。すぐにでも試合をしたい。調子はいいし、キャリア史上最高の体型を保っている。このスポーツが好きだし、リングは自然に自分を表現できる場所で、だからこそ毎日ハードにトレーニングしている」

「Go big or go home(100パーセント本気で行く)。次はクリスチャンと対戦したい!」