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【11/16大会】打撃の達人ワン・ウェンフェン、成功までの道のり

2019年11月14日

打撃の達人ワン・ウェンフェン(中国)の子ども時代のいじめっ子は、本当の意味でワンを倒すことはできなかった。代わりに彼らは、不屈の精神と格闘技で成功したいという意欲をワンに植え付けた。

11月16日(土)に中国・北京で開かれる「ONE:AGE OF DRAGONS」で、ワンはONEフライ級キックボクシングの世界タイトルに挑む。

ここまでの道のりは平坦ではなかった。だが彼はいつも、自分を焚き付けるものを持っていた。

世界王者イリアス・エナッシ(オランダ/モロッコ)との決戦を前に、26歳のワンがこれまでを振り返る。

いじめっ子に立ち向かって

ワンは1993年、中国の安徽省の省都である合肥で生まれた。

痩せてひ弱な少年だったワンは、学校でいつもいじめられていたという。だが体は弱かったが心はいつも強かった。

「クラスメートからは狙いやすい相手だと思われていた。 彼らは自分をいじめて楽しんでいた」

「彼らは例えば、床を掃除しろとか、そんなことをいい続けてきた。もちろんそんなことしたいわけがない。負けを認めるつもりはなかった」

「たくさんいじめられて本当に嫌だったが、反撃する方法を考えていた。 勝てなかったとしても、やり返したかった」

学校での辛い時間は、彼の素行に悪影響を与えた。ワンの成績は悪く、問題を起こした。

「小さい頃は学校で問題児だった。勉強したくなかったし、成績は悪かった」

ワンのふるまいを正すために、両親は大きな決断をした。それは彼の人生を変えるものだった。

格闘技の教えを受けて

両親はワンの規律を正すために格闘技の学校に入学させた。ワンは嫌がったが否応なしに行かされることになった。

「両親は自分は勉強ができないと思っていた。たくさんのチャンスをくれて、それから格闘技の学校に送り込まれた。そのときは反対したが、両親の決定に従った」

「格闘技はあまりやりたくなかった。映画やテレビドラマでしか知らなかったから。人が空を飛んだり、 一度に10人を倒したりするようなものだった。覚えている限りで言えば、誇張してしたんだ」

だがワンはすぐに心を入れ換えた。 自分がいたネガティブな環境から逃げ出し、精神的にも身体的にも自信をつける方法を見つけ、やっと仲間にも受け入れられた。

「少しずつ新しい学校での生活に慣れていった。そこではみんな仲良くできた。 そこでの生活は自分が思っていたものとは違った」

「中国の武道を選び、それから毎日トレーニングした。実際のところ、その動きが格好よく思えて、惹かれていった」

中国の武術「散打」のコーチはワンの才能を見て、学校のチームに参加するように勧めた。  ワンは2年後、合肥スポーツ学校に移って散打の腕を磨き、地方大会を何度か制覇した。

やがてワンはムエタイと出会う。彼はその時も半信半疑だったが、ムエタイを知るにつれ、その虜になった。

「映画でしかムエタイを見たことがなかった。 暴力的で、悪いものだと思っていた。試合は凶暴なものだった」

「だが実際にムエタイを知って、シンプルなものだとわかった。だからムエタイをあっという間に学んだ。自分に合っていたんだ」

選手生命を脅かすケガ

しかしワンにとって、打撃の世界トップへの道のりは険しかった。

フルコンタクトというムエタイの特質でもあるが、試合中に重傷を負ってしまったのだ。

「タイでの試合が人生最悪の時だった。試合中にケガをしたが、そのまま3ラウンド続けた」

「中国戻り治療を受けた。医者にはもう二度と、ボクシングのリングには上がれないかもしれないと言われた。最悪だった。そこから2か月、ジムでお酒を飲んだものだ。コーチの助言も聞かなかったし、自暴自棄になっていた」

「家族を心配させたくなくて、ケガのことを話す勇気がなかった。独りぼっちでプレッシャーに耐えていた。全ての負担を自分で背負っているようだった」

医者は大掛かりな手術を勧めたが、ワンはリスクを心配していた。もう二度とリングに戻れないかもしれないという点もその一つだった。

その時コーチが中国の伝統的な治療を提案した。時間はかかるかもしれないが、大手術のリスクは抑えられる。

そして半年後、ワンは以前より精力的になってトレーニングに戻ってきた。ケガからわずか1年でワンは試合に復帰し、大きな成功を収めたのだ。

ワンは困難な試練に直面したが、貴重な教訓を学んだ。

「どんな問題にぶちあたっても、真摯に向き合えっていれば乗り越えられる」

「自分がどのように向き合うか、目標を達成するためにどう一歩を踏み出すかということにかかっている」

ONE世界王者を目指して

KLF World Champion Wang Wenfeng from China

4つの国内タイトルと3つの世界王者という肩書を引っさげて、ワンは今や史上最も成功した中国人ストライカーの1人になった。

「(ケガの翌年に)人生最大の賞を獲得することができた。最高の舞台で戦い、世界選手権を制覇したんだ。信じられないほどうれしかった」

「世界チャンピオンになったから、これでもっと先に進めると気づいた。おかげでもっと強くなれた」

ワンは今、メジャー大会に足を踏み入れ、格闘技で名誉ある称号ONE世界王者の獲得に挑もうとしている。

いじめや怪我は彼を引き止めるのに十分ではなかった。彼は今、自分の強さを示し、ONEの舞台で母国を代表して戦うため、前進し続けたいと思っている。

「世界タイトルの挑戦者にふさわしいと自分の力で証明する。勝てると思っている」

「母国での試合になるから自分にとっては大きなチャンスだ。北京には家族や友人がいある。ベルトを手にするところを両親に見せたい」

北京 | 11月16日 (土) | 18時(日本時間) | 中継:ONEチャンピオンシップ公式アプリで生中継(無料)