“Little Giant”ボカン・マスンヤネ

“リトル・ジャイアント”の異名を持つボカン・マスンヤネは、南アフリカを代表するストロー級MMAファイターであり、逆境を力に変えて世界最高峰の舞台へとたどり着いた闘志あふれるアスリートだ。

南アフリカに囲まれた内陸国レソトで生まれ、幼少期に母親を亡くすという過酷な環境で育ったマスンヤネは、6歳の時にきょうだいとともにヨハネスブルグの孤児院で生活を始めた。小柄な体格ゆえに他競技ではチャンスが限られていたことから、7歳でレスリングを開始。するとすぐに才能を発揮し、エリートレベルへと駆け上がっていく。

レスリングではコモンウェルス・ゲームズ（英連邦競技大会）で銅メダルを獲得。2015年9月にアマチュアMMAへ転向すると、わずか1年足らずで6勝を挙げ、地域タイトルを2つ獲得するなど圧倒的な強さを見せた。

プロ転向後も連勝を重ね、キャリア序盤は6勝無敗。アフリカの大手団体EFCでタイトル挑戦が予定されていたが、膝の負傷により2018年の大半を欠場することとなる。

2019年、復帰戦として臨んだ日本のパンクラスでの国際デビュー戦を判定勝ちで飾り、そのパフォーマンスが評価されてONE Championshipと契約。以降は、世界最大の格闘技団体を舞台にトップレベルの選手たちとしのぎを削っている。

マスンヤネの武器は、ダイナミックなテイクダウン能力、圧倒的なトップコントロール、そしてパワフルな右パンチ。そのスタイルは、相手を消耗させながら試合を支配する現代的MMAの完成形とも言える。

逆境を乗り越えてきた精神力と確かな実力を兼ね備えたボカン・マスンヤネは、ONE Championshipのストロー級戦線において、今後も侮れない存在であり続けるだろう。