【11/8 Fight Night 37】サメット・アグデヴ、ローマン・クリークリャを下す番狂わせ!初代ヘビー級 キックボクシング王者に
ONEチャンピオンシップは11月8日にタイ・バンコクのルンピニースタジアムにて「Fight Night 37」を開催。
メインイベントのONE初代ヘビー級キックボクシング世界王座決定戦で、SENSHIヘビー級GP覇者のサメット・アグデヴ(トルコ)がONE2階級制覇王者のローマン・クリークリャ(ウクライナ)を下す番狂わせが起きた。
7年間無敗を誇ったクリークリャが下馬評では圧倒的に優位だっただけに、この結果には世界中の格闘ファンが驚いた。

タイの首都で繰り広げられた一戦は、序盤からクリークリャがアグデヴを圧倒しようと襲いかかる展開となった。観客の記憶には、これまでクリークリャが数々の相手を鮮やかに沈めてきた場面が焼き付いている。この日も、21歳の挑戦者を一蹴するつもりだった。
ところが、会場の誰もが、そして15連勝中のクリークリャ自身も想像していなかった事態が起きた。アグデヴは倒れなかった。覚悟を決めて乗り込んできた若き挑戦者は、その気迫を行動で示したのだ。
アグデヴはクリークリャのパンチを対処しながら、第1ラウンドと第2ラウンドでカーフキックを叩き込んだ。クリークリャの左ふくらはぎは大きく腫れ上がり、ダメージは明らかだ。
それでもクリークリャは諦めなかった。201cmの巨体を片足で支えながら、第3ラウンドから反撃に転じる。リーチの長さを活かし、リング上のどこからでもストレートパンチ一発でアグデヴを捉えられる間合いを保った。
クリークリャは不規則なタイミングから繰り出すパンチでアグデヴの眼を狙い撃ちにした。
だがアグデヴもローキックを打ち続ける。終盤のチャンピオンシップラウンドに入ると、アグデヴの自信は確信に変わり、攻撃の手数も増していった。

癌で入院中の母のために戦う男は、内なる闘志を奮い立たせ、さらに強い勝利への執念を引き出した。
アグデヴはパンチとキックでクリークリャを痛めつけた。ONEの世界中のファンが目撃したのは、これまでほぼ完璧だった男が打ち砕かれる瞬間だった。
この日、完璧だったのはアグデヴの方だった。世界王座をかけた戦いの終盤、振り下ろすようなオーバーハンドとフックが目の前にそびえ立つ巨人を揺るがした。
一進一退の激闘の末、判定は3-0でアグデヴに軍配。アグデヴは無傷の戦績を18勝0敗に更新し、初代ONEヘビー級キックボクシング世界王座を獲得。そして病床の母親にインスピレーションを与えてくれたことへの感謝を述べた。