【11/16 ONE 173 日本大会】グリゴリアン、安保瑠輝也に宣戦布告「地獄を見せてやる」
キックボクシング3階級世界王者のマラット・グリゴリアンが、安保瑠輝也の挑発に激怒している。11月16日、東京・有明アリーナで開催される「ONE 173」で、日本のスーパースターに現実を叩きつけるというのだ。グレゴリアンはフェザー級キックボクシングマッチで、元K-1王者の安保のONEデビュー戦の相手を務めるが、この一戦に向けて、アルメニア強豪の闘志は燃え上がっている。
火種となったのは9月のONE 173記者会見だ。安保はグリゴリアンを“ワンパターン”で予測可能と一刀両断。グレゴリアンは表面上冷静を装っていたが、心の奥底では怒りがマグマのように煮えたぎっていた。
「彼は調子に乗りすぎだ。完全に勘違いしてる。私のところに来てボコボコにして、簡単に片付けられるとでも思っているのか。ファンは分かってる。私がどれだけの選手か、彼の想像を遥かに超えてるってことを。」
「私を舐めた奴には必ず報いを受けてもらう。試合が近づくにつれて、彼は気づくだろう。自分が何に手を出したのか。地獄を見せてやる。痛みで後悔させてやる。」
これは会見で安保が仕掛けた舌戦の単なる売り文句ではない。グリゴリアンは20年近く世界トップのストライカー達としのぎを削ってきた。ONE王座に2度挑戦し、スーパーボンやシッティチャイといったレジェンドを倒してきた男だ。数々の選手を見てきたこの34歳のベテランの目には、29歳の安保が強気な発言で恐怖を隠しているようにしか映らない。
「あれは怖いからそう振る舞っているんだ。東京で何が待ってるか分かってるから、ああやって虚勢を張るしかない。」
「私にあんな口の利き方する奴はいない。今は好きに喋らせとけばいい。時間なんてあっという間だ。ONE 173の当日、マラット・グリゴリアンがどんな男か思い知らせてやる。」
グリゴリアンの頭の中に判定という選択肢は存在しない。キャリア68勝36KO。この破壊王が求めているのは、ただ一つ。安保を完膚なきまでに叩きのめし、その生意気な口を二度と利けなくすることだ。
「私のラッシュで顎を砕く。とことんボコボコにしてやる。拳に奴の顎が当たる感触を味わいたいんだ。」
「一気に畳み掛けてKOする。マットに沈んで天井見上げながら、いい夢でも見てもらおうか。私は代わりに日本を楽しませてもらう。」
万全の対策で臨むグレゴリアン
とはいえ、グリゴリアンは単に感情に流されているだけではない。準備は抜かりなく進めている。安保の試合映像は何度も分析した。元K-1王者の安保がスピードと機動力で翻弄し、プレッシャーをかけられたら後ろ足で戦う展開も想定済みだ。
「最初は積極的に来るはずだ。鋭い攻撃を仕掛けてくる。そして頻繁に動く。攻撃しながら動くんじゃなく、逃げるために動く。だが、どこまでも追いかけて粉砕してやる。」
トレーニングキャンプは安保のペースへの対応を中心に組み立てつつ、グリゴリアンを世界王者に押し上げてきた破壊力と精度も磨き続けている。
ヘマーズ・ジム創設者のニック・ヘマーズも、愛弟子にONE初陣の相手を侮らないよう釘を刺している。安保のハイライトリールKO集は確かに圧巻だ。それでもグリゴリアンは、世界最高峰の舞台で培ってきた経験が勝敗を分けると確信している。
「彼は速い。だからこっちもスピードを上げる必要がある。ボクシングの技術は高いし、そこへの対策も練ってる。蹴りの練習にも力を入れてる。」
「このレベルで戦うなら、全てを磨かないといけない。スピード、動き、コンビネーション、ディフェンス。この試合のために全てをやり込んできた。」
因縁の向こうには、さらに大きな獲物が待っている。「ONE 173」のメインイベントでは、ONEフェザー級キックボクシング正規王者スーパーボンと暫定王者の野杁正明による統一王座決定戦が行われる。グリゴリアンが狙うのはその勝者だ。2度の王座挑戦で涙を飲んだが、3度目こそは悲願を達成する。
「私はもうそこにいる。王座の目の前に。この勝利を掴んで、勝ち続けて、スーパーボンか野杁との試合に向けて準備を整える。どっちが勝とうが関係ない。欲しいのはONE世界王座、それだけだ。」