“殿堂入り決定”アウンラ・ンサン、引退試合を振り返る「夢が叶った」次世代へのメッセージも
ONE Championshipのリングへの慣れ親しんだ入場が今回は違って感じられた。元ONEライトヘビー級・ミドル級MMA世界王者のアウンラ・ンサンは、それを骨身に感じていた。
キャリア21年間の犠牲、苦闘、そして勝利が、10月4日に開催された「ONE Fight Night 36: Prajanchai vs. Di Bella II」での元ONEウェルター級MMA世界王者ゼバスティアン・カデスタムとの引退試合への最後のステップに凝縮された。
タイ・バンコクの熱狂的な観衆の歓声が、母国の国旗と生涯の夢を肩に背負ったミャンマーのスポーツヒーローを包み込んだ。試合は彼の伝説的地位にふさわしい模範的パフォーマンスだった。この40歳は前進し、パンチ、膝蹴り、右の連打で2ラウンド2分20秒のTKO勝利。キャリア31勝目を飾った。ンサンその瞬間を振り返った。
「気分が良かった。まだ実感が湧いていないが、きっと語り継がれるものになると確信している。全てがうまくいき、全ての準備と努力がこれに至ったことに、ただ感謝している。」
しかし、ONEのチャトリ・シットヨートンCEOから5万ドルのファイトボーナスを獲得した素晴らしいパフォーマンスにも関わらず、ンサンは対戦相手に敬意を表さずにはいられなかった。
カデスタムは単なる対戦相手ではなく、戦友として立っていたからだ。長年にわたりンサンとカデスタムはサークルの外で親しい友情を育んできたのだ。
「彼はハードヒッターだ。試合では彼の強打を感じた。そして今回の試合を通して、なぜ彼が多くの対戦相手をノックアウトしてきたのか理解できた。私は彼のファンであり友人でもあるので、少し厳しい戦いだった。」
「しかしMMAファイターとして、それが私たちのすべきことだ。最後の舞台で、自分が尊敬しファイターとして本当に好きな誰かと戦うより良い方法はないと思う。」

輝かしい格闘キャリアを振り返ると、ンサンは2005年にその旅が始まって以来、長い道のりを歩んできた。この40歳のベテランにとって、競技への愛は全ての達成を超越してきた。
ンサンは全てを見てきた。彼は最も暗い谷を通り、試練、個人的苦悩、苦い敗北を乗り越え、ミャンマー初のMMA世界王者として前例のない高みに到達した。他の者が完全降伏したかもしれない場所で、アウンラ・ンサンは前進し続けた。
「(続けてこれたのは)この競技への愛だ。より良い自分になることへの愛、そして神への信仰だ。」
ンサン、殿堂入りと次世代へのメッセージ
「ONE Fight Night 36」がアウンラ・ンサンが4オンスグローブを着用する最後の機会となったが、彼がサークルに歩いて行く最後の機会ではない。
カデスタムへの勝利とキャリア29度目のフィニッシュに続いて、ンサンは11月16日に東京で開催される「ONE 173: Superbon vs. Noiri」で殿堂入りを果たすことが確定した。この認定はミャンマーの格闘技レガシーを築くために費やした生涯全てを正当化するものである。
「本当に最高だ。このために一生懸命に戦い、何十年もの努力があって、団体と人々から称えられるこの瞬間に至る。夢が叶った。とても感謝している。」
個人的な栄誉を超えて、ミャンマー最高のスポーツスーパースターとしてのアウンラ・ンサンの時代は深い意義を持つ。
彼の歴史的な達成は、プロ格闘技を実現可能なキャリアパスとして見る母国の次世代ファイターたちのための扉を開いた。
自身の先駆的なレガシーが何を意味するか尋ねられた時、元2階級制覇王者ンサンは過去ではなく将来を見据えた。
「何よりも、次世代を刺激したいと願っている。自分の世代が正しいことをし、より明るい未来に向けて本当に努力すること、彼らに理解してもらいたい。」
「100%を捧げなさい。そのために生き、その愛のために続けて欲しい。お金への愛、名声、他の何かのためではなく。そうすれば、きっとうまくいく。耐え忍びながら続けなさい。」