【1/14大会】池田仙三「意識さえあれば100パーセント勝つ」

Senzo Ikeda Liang Hui ONE Collision Course 1920X1280 41

日本のベテラン池田仙三が久々にONEチャンピオンシップのケージ「サークル」に登場する。

1月14日(金)、シンガポール・インドア・スタジアムで行われる「ONE: HEAVY HITTERS」で2連勝中のジェレミー・ミアド(フィリピン)と対戦する。

39歳の池田は、元パンクラス・チャンピオン。「ONE: COLLISION COURSE II」でリャン・フイ(中国)に勝利し、ONE初白星としている。対するミアドは29歳で、総合格闘技ストロー級ランキング入りを狙っている急上昇中のアスリートだ。

久々の試合を前に、池田がONE編集部の公式インタビューに応じ、試合への意気込みなどを語った。

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ONEチャンピオンシップ: 1月10日にシンガポールに到着した。調子は?

池田: 減量真っ只中なので、少し体がだるい。昨日深夜2時くらいにホテルに着いて、だるくてあまり眠れていない。飛行機では映画を2本くらい見て、仮眠してあっという間に着いた。映画『マスカレード・ナイト』と『ヴェノム』を見れて、ラッキーだった。

ONE: 前回の試合を振り返ってほしい。

池田: 前回の試合は、すごくキツかった。始まってすぐ、20〜30秒あたりで打った一発目のパンチで拳が折れてしまった。めちゃくちゃ痛かった。1分くらいで急所に当たって、その時も激痛で「うわ、これどうしよう」って考えていたら第1ラウンドが終わってしまい、このままでは負けると思った。

なので、考えるのをやめようと思ったし、(怪我をしているのを)悟られてもだめだと。下がったらやられちゃうから、ヒジやヒザで前に出ようと思ってとにかく無我夢中だった。

スタミナも切れたし、動けなくて負けると思って必死に前に出た。そうしたら、中盤に相手のスタミナが切れてきて、これはもう気持ちの削り合いに持っていくしかないなと思った。向こうも後半から疲れが出てきて、自分も全然動けなかったんが、気持ちだけはとにかく前に出ていこうと思って、なんとか勝った。勝利したとはいえ、自分の試合ができた感覚ではなかったので、勝ってすぐはあまり嬉しくなかった。周りは良かったね、俺らしい試合じゃなかったけど勝てて良かったね、って言ってくれたけれど。

拳が折れてからは、全然力入らず握れなかったが、その手も出さないとやっぱりガンガン前に来られるし、こっちが弱気なのがバレると思ったので、壊れた方も要所では使っていた。痛みがやばかった。勝ったから良かったけど負けていたら地獄だった(苦笑)

ONE: あの試合での勝利は、ONE初白星だった。 

池田: ONEに来てから苦しい試合しかしていないが、あの試合も苦しい試合の中でなんとか拾ったなって思う。気持ちで勝ったなと。

ONE: 怪我が続いた中、どのようにファイターとしての気持ちを維持してきたか?

池田: ずっと自問自答だった。自分との戦いだ。今の自分は「最後は、人と戦うのではなくて、いかに自分と戦って、自分に負けなければ、負けることはない」という考え方にたどり着いた。もう人との戦いじゃないというか。今回も、ジェレミー・ミアドとの戦いとは思っていない。自分との戦いだと思っている。

自分との戦いを続けてきたので、練習できない時間は長かったけれど、自分と向き合って、自分から逃げるということをしてこなかったので。格闘家として強くなったかとか、技術が上積みされたとかは分からないが、気持ちの部分では一回り上のものを手に入れたのかなと。メンタルには自信がある。自分らしい試合ができると思うし、周りが面白いって思ってくれる試合ができるのかなと思う。何があっても逃げることはないし、ケージの中で諦めることは何があろうとない。

ONE: 今回の試合に向けての調整はどのようにしてきたのか? 

池田: 練習がものすごく辛かった。練習ってこんなにきつかったっけ? と練習するのにも参ってしまうくらいきつくて、体が動かなかった。試合が決まってからスパーとかを初めて、体が本当に動かず、練習に行くの嫌だなって思うくらい辛かった。

2週間くらい前からようやく自分の動きを取り戻してきたので、良い試合ができると思う。本当に気持ちの部分は世界トップの選手にも全く負けていないので。面白い試合できるんじゃないかと思う。

ONE: 試合のオファーがあったのはいつ?その時の気持ちは?

池田: 12月頭だったと思う。マジか、と思った。(2021年にオファーが来ることはもう)完全にないと思っていたので。練習は思う存分できていなかったが、決まったらどんな状態でも試合をしようとは思っていた。

でも、本当に嬉しかった。どんな状態でも試合をやれるということが、本当に嬉しいことだなって。明日できることすらわからないし、明日格闘技の練習ができるかもわからない、そう思ってやっているので、試合にたどり着けることが嬉しい。

前までは、負けるのが怖かった。応援してくれる人がいるので、結果が出なかったり負けたりするのが怖かったが、今はもう戦えるところまでたどり着けるということが、奇跡で、それは当たり前じゃないんだなと思っている。練習も、勝ち負けもそうだが、試合に上がれるって嬉しいことだなって。よく考えると(試合ができることは)そう簡単なことじゃないなって。だから、どんな結果であっても自分で今までやってきたことを全力でやって楽しみたいなって。みんなにも楽しんでほしいと思う。すごく楽しみだ。

ONE:ミアドは前回の試合ではTKO勝利、2連勝とした。試合を見てどんな印象を受けたか?

池田: 強いなー、と思った。他の試合も見たが、めちゃめちゃ良い選手だと思った。身体的に才能を感じるファイターだ。スピードも、バネもパワーもあるなって。身体的、才能で言ったら自分より上かなって思った。すごく良い選手だと思う。

ONE: ミアドは「(池田は)とても経験豊富なファイターで、簡単な相手じゃない。すでに日本でチャンピオンになっているし、これは最大の試練だと思っている」などと話している。相手の強みや弱み、どのように分析をしているか? 

池田: 強みは、やっぱり勢いだ。勢いがものすごい、恐れ知らず。まったく怖がらずガンガン攻めてくる度胸もある。あとは身体的能力が高い。だから、一発もらったら危ないと思う。

メンタルで言ったら自分の方が全然強いじゃないかと思う。それだけ苦しい試合をしているのは自分。彼の過去の試合を見ても自分の方がとんでもない苦しい試合をしてきたと思うので。苦しい試合になった時の強さは自分の方が上なんじゃないかと感じるし、彼が今まで戦ってきた相手と自分は違うと思う。自分は意識さえ飛ばなければ、やられると思っていない。他の選手は彼の強さにビビっちゃっているというのがあったけど、自分は相手にビビるってことはない。向こうが僕の意識を飛ばさなければ、自分が100パーセント勝つと思っている。

ONE: この試合に向けて、誰とどんな練習をしてきたか?

池田: 相手がストライカーなので、今回セコンドについてもらう松井トキくんと一緒に打撃中心のMMAのスパーをしてきた。あとは、ジムで若くて強い子がいっぱいいるので、打撃中心のオールラウンダー達とスパーをしてきた。20代の若い選手たちとガツガツやってきた。自分はオジサンなんで、すごいキツくて、最初は病んでいた(笑)

ONE: 前回の試合から変わったことは?

池田: 正直なところ、ファイターとしての技術で進化したところは特にない。怪我をしていて、練習をあまりできなかったので。なので、上積みしてきたテクニックは特にないかもしれない。ただ、気持ちの部分では相当変わったと思う。1年前の試合と比べるとだいぶん違う。もう1つ、自分のことを知れたし、楽になった。力を抜いて戦えるようになったと思う。

今までは、死んでも良いから勝つ、みたいな気分だったが、今はその上の領域に行ったので、それすらも思わないし、覚悟を決める必要もない。日頃から自分の気持ちや感覚が整っている。戦うから特別なんじゃなくて、今一日過ごせていることが特別だという気持ちだ。毎日、命かけてやっている、生きているという感覚なので、この気持ちで負けるようだったら意識が無くなった時くらいだし、もし負けちゃったら「本当ごめん」みたいな感じだし、またやるしかないなって思うだけだと思う。

ONE: この試合はどんな試合になると思うか?

池田: もちろん自分の考えでは、自分が絶対勝つ。負けるとしたら、失神するかレフェリーストップという可能性はゼロではないが、KOなり、一本なり、判定なり、どれかで自分が勝つんじゃないかなと思う。自分とやり合って相手が動き続けていれば、相手の心が折れるんじゃないかと思っている。

打撃で戦おうとは考えている。でも、その時になって打撃が通用しない可能性もあるし、寝技に行って通用しない場合もある。殴り合いはいつでもできるので、焦って殴り合いをする必要はない。焦らずいろんな戦い方をしたいと思う。

ONE: 一番良い試合の終わり方はどのように想定しているか? 

池田: フィニッシュなどはあまり考えていない。見てくれている人に楽しんでもらえる試合をしたいと思っているので、フィニッシュというより、盛り上がる試合をしたい。見ていて盛り上がる、どっちが勝つんだ? というような展開で勝てたらと。楽して勝ちたいとは思っていないし、ONEのスタッフにすら面白い試合だなって思ってもらえる、応援してくれている人やファンの人に、面白かったって思ってもらえるような試合をして勝てたらと思う。

会場にもお客さんいるということだし、相手の選手もガンガンくる選手なので負けようが勝とうが盛り上がる試合をしたい。仙三の試合は面白いなって思ってもらいたい。

ONE: ストロー級は加熱しているが、この試合で勝てば再びランカーとの対戦もあると思うか?

池田: 自分もランキングに入っている選手と戦えると思う。身体的に考えたら劣るところもあるが、正直勝てるなっていう思いもすごくある。やるからには強い選手とやって、もちろんチャンピオンを目指してやらないと意味がないので。(チャンピオンに)なれると思ってONEに来たので、やるからにはそこしか目指していない。強ければ強いほど自分の力を発揮できるし、面白い試合ができると思うので、やりたい。

ONE: 新年の目標は? 

池田: とにかく、いっぱい試合がしたい。コンスタントに試合をして、みんなに見てもらえるようにしたい。今は怪我もあって1年に1試合しかできていなくて、若い頃は1年で5試合やったこともあったので。勝っていないとそれだけ試合組んでもらえないと思うので、コンスタントに試合できるように結果を残すことで、上の選手達と試合をしたい。しっかり結果を残して、体も整えて、いっぱい戦いたい。

ONE: 最後にONEのファンへメッセージを。 

池田: 自分の試合は絶対面白い試合になると思うので、皆さんに楽しんでもらえたら嬉しいと思います。自分もここまでやってきた、積み重ねてきたので楽しみたいと思います。

結果もそうですけど、自分がやってきたことを信じて、全力でぶつけたいと思うので、楽しみにしていてほしいです。自分が追い詰められたら激闘になると思います。しっかり勝ちます!

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