【11/16 ONE 173 日本大会】殿堂入りへの道:アウンラ・ンサン、長谷川賢と歴史に残る大激闘、ミャンマーに銅像建立
今年10月の「ONE Fight Night 36」でアウンラ・ンサンが最後のリングウォークを行った時、タイ・バンコクのミャンマー人観衆は津波のような大歓声で迎えた。旗が掲げられ、彼の名を呼ぶ声がルンピニースタジアムに響き渡った。
彼の穏やかながら威厳に満ちたオーラがアリーナを満たした。それは10年以上にわたって祖国の希望を背負ってきた男の姿そのものだった。
この日、40歳のアイコンは最後の傑作を披露し、第2ラウンドでゼバスティアン・カデスタムにKO勝利を飾った。それは伝説的なキャリアを締めくくる、まさに有終の美だった。
そして今、ONEチャンピオンシップで11年の活躍を含むMMAキャリア20年という目覚ましい歳月を過ごした後、“ビルマのパイソン”ンサンは格闘技界で最高の栄誉の1つを受けることになる。
11月16日(日)、東京・有明アリーナで開催される「ONE 173: Superbon vs. Noiri」で、彼はONEチャンピオンシップ殿堂入りを果たす。デメトリアス・ジョンソン、ビビアーノ・フェルナンデスに続く快挙だ。
ONE15勝と多くのメインイベント出場を通じて、ンサンは世界の舞台でミャンマーを代表するアスリートとなった。以下、ONEチャンピオンシップにおける彼の5つの偉大な功績を紹介する。
#1 ミャンマー初の世界王座獲得
2017年6月に開催された「ONE: LIGHT OF A NATION」でアウンラ・ンサンがヴィタリー・ビグダシュに勝利した時、彼は単にベルトを獲得しただけではなく、ミャンマーの歴史を書き換えた。
この勝利で彼はONEミドル級MMA世界王者となり、あらゆるスポーツを通じて同国初の世界王者となった。その夜、ツワナア・インドアスタジアムは神聖な場所へと変貌した。国家の誇りと長年の忍耐が、1つの勝利の中で解き放たれた場所だ。
この勝利は個人的な栄光以上のものを運んだ。それはミャンマー全土の世代に夢の火を灯した。多くの人々が彼の中に自分自身の苦闘を見出した。謙虚な始まり、不屈の精神、そしてどんな道も遠すぎることはないという信念を。
#2 ONE2階級制覇MMA世界王者に
2017年がアウンラ・ンサンが歴史を作った年だとすれば、2018年は彼がそれを超越した年だった。ヤンゴンで開催された「ONE: QUEST FOR GOLD」で、彼はアレクサンドル・マチャドから秒殺KO勝利を飾り、ONEライトヘビー級MMA世界王座を獲得した。
この勝利により、彼は2階級制覇ONE世界王者に。階級を超えてその両方を支配できるファイターは少ない。ンサンがそれを偉業を成し遂げると、ミャンマー国民にとって、彼の勝利は国家の勝利としての記憶となった。全ての家庭のスクリーンが誇りで輝いた夜だ。そしてONEにとって、それは真のグローバル格闘技大使の誕生を示すものだった。
#3 ミャンマーに銅像建立
称賛されることと、記憶に刻まれることは別次元だ。2018年、アウンラン・サンの祖国は彼に敬意を表して銅像を建立し、忍耐と国家統一の象徴として永遠に彼を刻み込んだ。
故郷ミッチーナに建てられたこの銅像は、彼のファイティングポーズだ。地に足をつけ、不屈の姿勢で。それは偉大さが勝利だけでなく、他者を高める方法によっても測られることを思い起こさせるものだ。
ミャンマーにとって、この記念碑は芸術以上のものとなった。小さな町を離れて夢を追いかけた少年から6度のONE世界王者になったアウンラン・サンの旅は、国民全体の復興を体現していた。
#4 ONE史上屈指の勝利数を誇るファイター
ONEチャンピオンシップでの11年間、アウンラ・ンサンは15勝を積み重ね、クリスチャン・リー、ロッタン・ジットムアンノン(各17勝)に次ぐ記録を打ち立てた。
同様に印象的なのは、その勝ち方だ。87%のフィニッシュ率で、“エキサイティング”は彼の代名詞となった。彼が判定に運命を委ねることは稀だった。
キャリア初期、彼はサブミッションを得意とするグラップラーとして知られていたが、後年にはKOアーティストへと進化した。最後の11勝は全てフィニッシュ勝利で、そのうち9つはKOだった。それぞれが精度とパワーの雷鳴であり、古き良き精神が現代の格闘技で栄えることができることを示すものだった。
サークル内で、彼は結果だけでなく、嵐の前の穏やかな態度と殺戮の後の謙虚さでも崇拝された。アウンラン・サンは職人のように戦い、哲学者のように振る舞った。
#5 長谷川賢とのONE史上最も象徴的な戦い
全ての偉大なキャリアにはそれをが象徴する名勝負がある。アウンラ・ンサンにとって、それは2018年の「ONE: SPIRIT OF A WARRIOR」で長谷川賢との一戦だった。
その夜繰り広げられたのは、意志、心、肉体が試された死闘だった。両者は疲労が動きを曖昧にするまで打ち合った。試合はンサンが劇的な第5ラウンドTKO勝利を収め、観衆が沸き立つ中、彼は膝をついて崩れ落ちた。
この対戦は後に2018年に発表されたONEの「100 Greatest Fights」リストで第1位にランクされ、当時団体史上最高の戦いの1つとして広く称賛された。年月が経ち新たなライバル関係が生まれたが、この激突は技術と精神が衝突した時に格闘技が何になり得るかのベンチマークであり続けている。
ミャンマー国内外で、ファンは今でもこの夜をアウンラン・サンの伝説が不朽のものとなった夜として記憶している。