スタンプ・フェアテックス

スタンプ・フェアテックスは、ONE Championship史上初の三競技制覇王者として知られる、タイが誇る女子格闘技界のスーパースターだ。5歳のとき、いじめから身を守るために父親のジムでムエタイを始めたのが格闘技との出会いだった。翌年にはすでにリングに上がり、プロデビュー戦をわずか30秒足らずでKO勝ちしている。

その後、ムエタイ選手として80戦以上を経験し、地方スタジアム王者、そしてタイ東北部で二階級制覇を達成。努力と犠牲を重ね、18歳で故郷ラヨーンから単身パタヤへ移住し、本格的に格闘技に人生を捧げる決意を固めた。

ONE Championshipデビュー戦では、ONEアトム級キックボクシング世界王座を獲得。続く試合ではアトム級ムエタイ世界王座も制し、ONE史上初の二競技王者となった。打撃の頂点を極めた後は総合格闘技（MMA）に挑戦し、2021年にはONE女子アトム級ワールドグランプリを制覇。続くアンジェラ・リー戦では惜しくも敗れたものの、成長を止めることはなかった。

2023年、スタンプはハム・ソヒを3ラウンドTKOで下し、ONE女子アトム級MMA世界王座を獲得。キックボクシング、ムエタイ、MMAの3競技すべてで世界王者となり、ONE史上初の“三冠クイーン”として歴史に名を刻んだ。

しかし2024年、初防衛戦の準備中に負傷。長期離脱を余儀なくされ、2025年5月に王座を返上した。

それでも、スタンプの物語はまだ終わらない。リングでもケージでも常に笑顔と闘志を忘れない彼女は、世界中のファンに夢と勇気を与え続けている。