マラット・グレゴリアン

マラット・グレゴリアンは、世界最高峰のキックボクシング団体「GLORY」で3度の世界王座を獲得したアルメニア出身のストライカーであり、圧倒的な攻撃力と不屈の闘志で知られている。彼は努力の価値を、まさにその人生で体現してきた。

アルメニアの農業都市タリンで、シェフの父と美容師の母のもとに生まれ、3人の姉と共に育った。より良い生活を求めた両親は幼いマラットを連れドイツへ移住したが、3年後に国外退去を余儀なくされ、再びヨーロッパを目指すことに。9歳のときにベルギー・アントワープへ移り住むと、両親は1日5〜6つの仕事を掛け持ちしながら家族を支えた。

言葉も文化も違う環境に苦労していた少年マラットを支えたのは、父が見せてくれたブルース・リーやジャッキー・チェンの映画だった。それが格闘技への情熱を芽生えさせ、キックボクシングのジムへと導いた。12歳で初試合に勝利して以来、地元大会を次々と制覇するも、実力が突出しすぎて対戦相手が見つからなくなるほどに。

さらなる成長を求め、オランダ・ブレダの名門「ヘマーズジム」へ移籍。トップ選手たちとしのぎを削り、K-1トーナメントやGLORYで活躍。GLORYでは世界タイトルを3度獲得し、ヨーロッパ最強のキックボクサーとして名を馳せた。2018年には「クンルン・ファイト」MAXトーナメントでスーパーボン・シンハ・マウインをわずか29秒でKOし、世界中に衝撃を与えている。

2020年にONE Championshipに参戦すると、羽量級キックボクシングの最激戦区で戦い続け、2度の世界タイトル挑戦を経験。精密なパンチコンビネーションと鉄のメンタルを武器に、今なお世界トップストライカーとして頂点を狙い続けている。