マゴメド・アカエフ

マゴメド・アカエフは、完璧な戦績を引き下げてONEチャンピオンシップに乗り込んできたロシア・ダゲスタン出身のMMAファイターだ。強烈な圧力と揺るぎないメンタルを武器に、世界タイトル獲得を見据えてONEの舞台へと歩を進めた。

ダゲスタン共和国マハチカラの小さな商店を営む家庭に生まれたアカエフは、子どもの頃からエネルギーに満ち溢れ、母にすすめられて武術のクラスに通い始めたことが格闘技の入口だった。

最初に学んだのは散打（サンダ）。5年間の修練を経てレスリングに転向し、複数の武術を融合させながら独自のMMAスタイルを構築。散打の打撃技術にレスリングの強さを組み合わせたハイブリッドなスタイルは、彼の大きな武器となった。

しかし、アカエフの人生には深い悲しみもあった。11歳で母を、19歳で父を亡くし、若くして両親を失うという試練に直面する。その喪失を乗り越える過程で、彼の内にあった激しさは、静かで強固な集中力へと変化していった。

父の死から数年後の2017年、アカエフはプロMMAデビュー。そこから7年間、より強い相手と戦いながらも無敗を維持し、地域トップクラスの逸材として頭角を現した。

さらに2024年には、ロシアの人気格闘技TVショー Hype FC で一気に名を広め、1か月で4連勝してチャンピオンに輝く。その圧巻の活躍が世界中の団体の注目を集め、ONEチャンピオンシップの契約へとつながった。

そして現在、世界最大の格闘技団体ONEのライト級戦線に挑むアカエフは、亡き両親に捧げるため、そして自身の人生を証明するために、ONEウェルター級MMA世界王座 を目指して戦い続けている。