“The One”ジェイク・ピーコック

“The One（唯一無二）”の異名を持つジェイク・ピーコックは、並外れた経歴を持つムエタイファイターだ。右前腕を欠損して生まれながらも、そのハンデを一切言い訳にせず、ONE Championshipという世界最高峰の舞台にたどり着いた。

イングランドで生まれ、元チェルシーFCのミッドフィールダーを父に持つピーコックは、幼少期からサッカーに親しんで育った。しかし心惹かれたのは格闘技の世界で、最初に始めたのは空手だった。学校でいじめっ子に立ち向かったとき、格闘技によって自分を守り、強くなれると実感したことが、彼の人生を変えるきっかけとなった。

その後、フルコンタクト空手を経てムエタイに転向。15歳のとき、家族とともにカナダ・カルガリーへ移住し、本格的に格闘技の道を追い求めた。努力の末にカナダ国内のムエタイシーンで頭角を現し、2024年初頭に開催された「Road To ONE: Canada」トーナメントでは、すべての対戦相手を撃破。決勝では見事なノックアウト勝利を収め、ONE本契約を掴み取った。

その後、ONEデビュー戦で新城絋平を判定で下し、続く試合では鈴木真治を3ラウンドTKOで撃破。テクニカルかつ攻撃的なスタイルで観客を魅了し、世界中のファンに“逆境を力に変える男”として知られるようになった。

生まれ持った条件に左右されることなく、努力と情熱で限界を超え続けるジェイク・ピーコック。彼はその名の通り、唯一無二の存在としてムエタイの舞台で輝きを放っている。