情けは無用のクリスチャン・リー「青木真也を1Rで倒す」
弱冠20歳。ONEフェザー級の星クリスチャン·リー。「ONE: A NEW ERA」の試合後に、青木真也から名指しで対戦相手に指名されたリーは、人生最大の試練に直面している。青木とリーの試合が実現したのだ。
しかし、試練はチャンスでもある。もし、青木真也を倒せば、ONEライト級のタイトルを獲得することができる。
リーにとっても、青木が対戦したい選手として自分の名前が挙がるのは、予想外の出来事だった。そもそも、リーは階級が違うし、青木の同僚で友人でもあるのだ。しかし、リーは、現実をすぐに受け入れ、“跳関十段”の異名を持つレジェンドに挑戦したいと考えている。
「まったく予想外なことでした」と、リーは振り返る。
「青木さんが勝ったことは嬉しかったし、試合後は祝福しました。僕らは親しいですから、当然のことです。それで、家に帰って、記者会見のニュースを見たら、あんなことになって。でも、挑戦するには良い機会だと思うし、ライト級に殴る込みというのも悪くない。お互いにとって良い試合ではと考えていますね」。
衝撃の記者会見から数日、この試合は5月17日にシンガポールで行なわれることが決定した。
「ONEから試合をするかどうか2日以内に決めてくれって言われて、また驚きです。まず、父親に電話で相談して、それからチャトリ(·シットヨートンCEO)に“実現させましょう”と伝えました。試合を本当にやるのかって聞かれたけど、男に二言は無いですね」。
リーは、常に闘う準備ができている。
青木真也とクリスチャン·リーは、シンガポールのメガジム「イヴォルブMMA」のチームメイトである。常に切磋琢磨し、二人には絆がある。しかし、リーは、友人同士の試合でも、何も変わることはないと断言する。
「初めて一緒に練習したのは17歳のとき。特にその頃は長い時間を共に過ごしました。友人であり、師であると言えるかもしれません。そして、いつしか実戦で闘ってみたいと思うようにもなりました」。
リーにとって、青木真也はこれまで経験したことがないレベルのグラップラーだ。リーにとって、青木が危険な相手なのは間違いない。しかし、リーとて20歳にしてブラジリアン柔術黒帯の天才ファイターだ。
「もちろん、青木さんは僕を締めにくるはずです。それが、序盤から来るのか、終盤まで縺れるのかは、分かりません。ただ、言えることは、こちらも全てのスキルを駆使して青木さんを倒しに行くということです。彼は格闘技史上最高の寝業師だと思います。だけど、ケージに入ったら、実績や年齢の差は関係ありません。必ず勝ちたいと思っています」。
青木真也に挑む、クリスチャン·リー。その瞳には自信がみなぎっている。
もし、リーが青木を破るようなことがあれば、一大事だ。そして、そんな大仕事をやってのけるだけの力がリーにはある。11月には徳留一樹を、1月にはエドワード·ケリーを1ラウンドで倒している。そして、リーは5月のシンガポールでも同じことをしようとしている。
「最初のラウンドで青木さんを倒します。必ずね」。