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波乱の連続!まさに格闘技の激流「ONE: ENTER THE DRAGON」ハイライト

2019年05月20日

 5月17日(金)にシンガポール·インドア·スタジアムで「ONE: ENTER THE DRAGON」が開催された。世界最高峰の舞台で実績を積み重ねたセージ·ノースカットがONEデビュー戦で、29秒KO負けを喫するなど、大会は波乱の連続となった。誰が勝つのか全く予想がつかない、格闘技の激流のなかで、奮闘する日本人選手の活躍はいかに。

またアームバーで勝利!V.V Meiがタイトル挑戦に大きく前進

 昨年5月に、アンジェラ·リーが持つONE女子アトム級世界王座に挑戦し、判定の末に敗れたV.V Meiだが、その後は2連勝と波に乗っている。今回の対戦相手は、中国のボウの予定だったが、欠場が決まり、急遽対戦相手がラウラ·バリンに変更になった。

 双方にとって思わぬ事態となったが、試合は、日本大会からの勢いそのままに、Meiが積極的に技を仕掛け、肩固めから、アームバーに持ち込んで1Rで勝利を収めた。決着がつくと、急な試合を実現させた両者が、お互いの健闘を称え合う一幕も。

 これで、Meiは2試合連続で、女子格闘技では極めるのに高難易度の技術を要するアームバーで勝利を収め3連勝。10月の日本大会に向けて、3度目となるタイトル挑戦が期待される。

崖っぷち元王者同士の闘いは内藤のび太に軍配

 現王者のジョシュア·パシオと、前王者の猿田洋祐、そして元王者の内藤のび太、アレックス·シウバという4強がデッドヒートを繰り広げているONEストロー級世界タイトル戦線。そのなかで、内藤とシウバは2連敗中と、タイトル再挑戦に向けて、まさに崖っぷちの状況に陥っていた。

 これまで2度対戦し、1勝1敗の両者。お互いを知り尽くした熟練者同士の対決は、お互いの良さを潰し合う、ハイレベルな闘いになっていく。1Rから積極的にテイクダウンを狙う内藤に対して、それをさせまいとするシウバの攻防。この構図は2Rでも変わらないが、少しずつ内藤が押し始める。

 そして、迎えた最終3R。お互いに決定打こそ出ないものの、内藤は最後の最後まで酸素の片道切符を持って果敢にシウバに飛び込んでいく。ここで試合が終了し、内藤は判定30で勝利を収めた。

激流の中心はこの男になるのか!?クリスチャン·リーが青木真也を下し新王者に!

 そして、いよいよ迎えたメインマッチ。王者·青木真也と挑戦者·クリスチャン·リーによるONEライト級世界タイトルマッチである。天才的な格闘センスを持つリーは、3月に行なわれた日本大会のあとで、青木真也によって次期挑戦者に指名された。

 若く、才能に溢れるリーと、これまで10年以上に渡って格闘技界を牽引してきた36歳の青木真也。様々な想いが工作するなかで、闘いの鐘が鳴る。

 1Rは、完全な青木ペース。リーは打撃を仕掛けようとするが、青木が巧妙に距離を詰め、倒される。グラウンドの攻防で、跳関十段相手に主導権を握ることは難しい。リーは、肘打ちに耐えながらもがくが、青木が腕十字を極める。苦しみに顔を歪めるリーと、冷酷に締め上げる青木。誰もが試合が終わったと思った瞬間、驚異的なバネで青木を押し返し、リーが脱出に成功した。しかし、それでも青木の優位は変わらない。再びリーを倒し、いつ、どの瞬間にフィニッシュが決まっても不思議ではない状態が続く。

 2Rでも、青木は積極的に間合いを詰めていく。そして、その刹那。リーの左が青木に入り、次に右が当たる。コーナーに倒れ込む青木。気がつけば、レフリーが試合を止めていた。

 格闘技史上に残る大逆転劇。リーが持つ、無限のポテンシャルが、円熟の寝業師を倒した。

 これで、青木真也はわずか2ヶ月弱でタイトルを失い、クリスチャン·リーがONEライト級世界王者に輝いた。敗れた青木は、自分の指名を受け、自らに勝利したリーを讃え、「自分がしてきたことと、このタイトルを君に託す」と話した。

 これで、日本人王者は再びいなくなってしまった。

しかし、青木真也とクリスチャン·リーの闘いは、緊張感に溢れ、総合格闘技の醍醐味がすべて詰まったような試合だった。